電卓やリモコンなど、小型の家電には必ずと言ってよいほど入っている「乾電池」。私的には懐かしのゲームボーイの電源としてお馴染みでございました。最近は小型の充電池が登場してきたので昔ほどは使われていないのかもしれませんが、それでも日常生活ではまだまだよく目にするのではないでしょうか。

 

そんな乾電池、一部の充電式のもの(エネループとか)を除き、基本的には使い捨てです。モノとしては金属の塊っぽく見えるので、リサイクルできそうな気もしますが、そもそも乾電池ってどんな物質でできているものなのか...。使い終わった乾電池の行く先を、皆さんは考えたことはあるでしょうか。

まず、使い終わった乾電池の捨て方はお住いの市町村によって違いますが、私の住む北海道函館市では通常のごみ収集とは別に、市役所や公共施設、町会館など市内各所に設置されている「使用済み乾電池回収箱」で、無料で回収されています(無料ってのがうれしい)。ちなみに回収箱は市内に246か所もあるそう。結構多い。

ここで回収された乾電池たちは燃やせないごみとして埋め立てられてしまう...のではなく、きちんと然るべき施設に運ばれ、リサイクルされています。その場所は函館から直線距離で約570km離れたオホーツク地方の北見市。ここにある「野村興産株式会社 イトムカ鉱業所」がその施設です。

野村興産のホームページによると、このイトムカ鉱業所は全国都市清掃会議・廃棄物処理技術センターから使用済み乾電池の『広域回収センター』に指定されている、世界でもトップクラスの高性能を誇る廃棄物処理プラントを有している工場だそう。ここで乾電池たちは「ロータリーキルン」という転式の窯などによってリサイクル処理が行われています。

まず手作業で混ざっている異物を除去したあとは、ロータリーキルン内で高温で加熱することで、有害な水銀やレアメタル、金属以外のものを除去します。そして残った金属部分は磁石を用いて鉄と亜鉛に分別し、先に分別したレアメタルも含め、それぞれ資源として再利用されていくとのこと。

乾電池の外側(缶部分)に使われていた鉄は、再び製鉄材料に。亜鉛は集められて地金に加工されたり、肥料の原材料となったりします。また、古い電池や海外製のものに微量ながら含まれている有毒な水銀も、安全に回収されて朱や試薬の原料となったりしているそうです。

普段何気なく使っている乾電池も、きちんと分別して正しく捨てれば、貴重な資源として再利用されていきます。まさに「混ぜればごみ・分ければ資源」の代表例という感じがしますね。

※乾電池に限らず、ごみの分別は自治体にって違います。必ずごみはお住いの市町村ルールに従って出しましょう。

【参考資料】

函館市ホームページ「函館市清掃事業概要」
https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2014011000490/files/R3seisoujigyougaiyou.pdf