期せずして見る機会があった。


神戸の西宮北口-宝塚を走る

ローカル線、阪急今津線の

たった8駅、片道約14分の

行程を舞台とした群像劇。


その昔、京都にいたころ。

自分は「おけいはん」、「ひらパー」で

有名な京阪電鉄利用者、

通称ケイハニストだった。


チョコレート色の阪急電車を

利用するのは梅田(いわゆるキタ)に

行くときくらい。それも四条河原町へ

出ないと乗れない、ちょっと

「お高い」イメージしかないのだが、

この今津線と言うローカル線は

舞台にもなった関西学院大学に行く時

実は利用したことがある。

ところが、全く記憶にない。

そんな自分と阪急電車。


登場人物が複数登場する。

それぞれ有名・個性俳優ぞろい。

舞台が兵庫県なので、当然

関西弁が飛び交う。

こういう場合、関西弁に違和感があると

関西の人に強烈なツッコミを

くらうわけだが、そこは阪急グループが

強力バックアップしている映画。

メインキャストの中谷美紀、宮本信子、

ブラザー・トムの息子と

デカルト・シャーマン以外はほぼ

関西出身者。芦田愛菜も戸田恵梨香も

バリバリの関西弁。本場だもの、違和感なし。


とるに足らないことだけど

日常に潜むちょっとした陰や不安、

苦しみと悲しみを扱ったストーリーで、

登場人物はそこから抜け出すために

一歩踏みだす勇気を、周囲の人たちから

わけてもらう。ゆったり、ふんわかした

気持ちになれ・・・そうなんだけど

ん?何か、足りない。


ここからネタばれ。






予告編にも使われていた

中谷美紀のウェディング姿。

これは序盤の話なんだけど、

この話が一番インパクトがある。

いや、ありすぎる。

ありすぎて、

その後も入り込めるストーリー

軍オタとか、犬似の話など

2時間という長さを感じないくらい

ちゃんと見入ることができるのに

「あれ、オチは?」ってなってしまう。


登場人物たちが勇気をふりしぼって

一歩踏み出す!やったー!

で、終わってしまっているようで

ラストでは思わず

「そこで終わるかー?」と

言いたくなった。


電車の中、14分あまりという限られた

時間と空間を使った演出で、

あれだけの登場人物と物語を

ミキサーにかけて

色も、香りも、味もおいしくできたのに

飲むときに横から全部こぼれ落ちて

しまったミックスジュースのよう。

惜しい。


しかし、玉山鉄二は

こういうオファーが増えたね。

いいことだ。

ペタしてね