イギナギの神に海原を治める様に命じられたにもかかわらず、母・イザナミの神に会いたいと駄々をこねていたスサノオの命は、姉・アマテラス大御神のもとへ行き、その事情を話すことにした。ところがアマテラスは、突然訪ねてきた弟が自分の国を攻めてきたのだと思い、スサノオの命を武装して出迎える。このような態度をとられたスサノオは、自らの身の潔白を証明するためにアマテラスと賭けを行う。この行為を、「誓約」(うけい)という。誓約とは、お互いに誓約を交わすというよりは、神に誓約し、神意を伺う占いのようなものである。
では、どのように身の潔白を示すのか。スサノオは自らが身に付けていた十拳剣をアマテラスに渡した。それをアマテラスが噛み砕くと、3柱の女神が生まれた。次に、アマテラスが身に付けていた八尺の勾玉をスサノオが噛み砕くと、5柱の男神が生まれた。ここで生まれた神は、噛み砕いたものを元々身につけていた神の子とみなされる。つまり、女神はスサノオの子、男神はアマテラスの子である。誓約で女神が生まれることは、スサノオに邪心や謀反の心がないということの証明になるという。よって、スサノオは無理やり侵入したのではなく。アマテラスの許可を得て、高天原に入ることを許されたのである。このとき生まれた神の1柱は、天孫降臨で葦原中国(あしはらのなかつくに)に降り立ったニニギの命の父にあたる、アメノオシホミミの命である。
アマテラスとスサノオは、このあと古事記の中心を占めるようになる。アマテラスは日本の最高神であり、太陽を司る女神である。実は太陽神が女神であるのは珍しいのです。他の国の神話の太陽神はほとんどが男神です。そんなアマテラスは天皇家の先祖神とされ、伊勢神宮内宮に祀られています。スサノオの名前の「すさ」は猛々しいを表す言葉で、その名の通り気性の激しい神です。イザナギに海原を治めるよう言われるが、イザナミのいる黄泉国に行きたいと駄々をこねるし、その後にアマテラスにも迷惑をかけた結果、高天原を追放され、葦原中国に降り立った。それ以降はヤマタノオロチを退治する英雄として描かれる。2番目に生まれたツクヨミはどうしたかというと、イザナギに夜の国を治めるよう命じられた。出番は以上だけです。