二つの大きな町に挟まれたオアシスに一人の老人が休んでいました。そこを通りかかった男が老人に尋ねました。「これから隣の町に行くのですが、この先の町はどんな町ですか?」。老人はこれに応えずに言いました「今までいた町はお前にとってどんな町だったね」。男はしかめ面をして言いました「たちの悪い人が多くて汚い町ですよ、だから隣の町に行ってみようと思ったのです」。老人はこう答えました「お前がそう思っているなら隣の町もたちの悪い人間が多い、汚い町だろうよ」。

 

 

しばらくすると、先程の男が来たのと同じ町から別の男がやって来ました。男は先程の男と同じように老人に尋ねました「これから隣の町に行くのですが、この先の町はどんな町ですか?」。老人はこれに応えずに聞きかえしました「今までいた町はお前にとってどんな町だったね」。男はにこやかに応えました「親切な人が多くて、きれいな町です」。老人はこれを聞いて言いました「なるほど、お前がそう思うなら隣の町も親切な人が多いきれいな町だよ」と言いました。

 

 

視点・視野等を見る言葉で、「視座」という言葉があります。視座とは、物事を見る姿勢や態度、立場という意味です。二人の男性は考え方が全く違っていました。最初の男は現実の汚いところを見ている一方、二番目の男は現実の綺麗な所を見ている。この様に、人には人の数だけ考え方があり多面的です。しかし、視座を変えるだけで人生が楽しいものになるか、苦しいものになるかは変わってくる。「姿勢や態度が変われば意識も変わる」というお話です。

 

参考文献《文章は、インターネット上に掲載されている動画と「座右の寓話(戸田智弘)を基に一部をアレンジしています。》