トレンボロンの効果 | 筑波大学スポーツ医学・向井直樹のブログ

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日本スポーツ仲裁機構の仲裁判断が出ました.

https://www.jsaa.jp/award/pdf/DP/DP-2023-001.pdf

 

競技者側からは

>400mH の競技者がトレンボロンを服用すると「体が重くなり、レース後半の勝負どころで著しい減速を招」き、「レースの歩数構成を維持したまま、薬物による著しい筋肥大をすれば、出力だけが上がり、長年の経験で積み上げてきたハードル間の歩数やストライドの微妙な調整力が、あっさりと失われ」るため、「陸上競技を専門とする者からすれば、400mH の選手がトレンボロンを意図的に服用することは、『まったく考えられない』」、と述べている。

との主張があったが,申立人である日本アンチ・ドーピング機構(JADA)からの反論は

>400mH の専門家の立場からの反論はできない

としている.これはタンパク同化薬が筋のダメージの回復に効果があり,世界的には長距離種目でも4年間の資格停止になっていることと矛盾があるのだが,JADAがそれを主張しなかったのはなぜなのか疑問がある.

それを認めた上で,意図的な摂取ではないことを確認しての決定であればいいのだが,どうにも説得力に乏しい判断だと思うのは,私の誤解だろうか?