来年の世界陸上競技選手権の一部の種目で標準記録が発表されました | 筑波大学スポーツ医学・向井直樹のブログ

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非常にレベルの高い標準記録ですが,これは旧IAAF(International Assosiation of Athletic Federations.現在はWorld Athletics:WA)が世界ランキング制を導入したときの狙いを実現しようとするものです.世界大会出場権を基本的には世界ランキング上位者に与え,故障などの理由があってポイントを取れなかった実力者を救済するために標準記録を設定する,と言っていましたから.

 

世界ランキングはresult score(競技記録を表に当てはめてスコア化する.風の条件での増減もあり)とplacing score(大会の格により順位のポイントが決まっている)の合計で計算され、世界記録を出すとボーナスが出ます.詳しくは

を参照していただきたいのですが,種目によってランキングに採用する競技会の数が決まっています(通常は5.5000mと3000mSCは3.10000mと混成は2.マラソンは1).そのため,記録が同じでも格の高い競技会で順位を取るとポイントが得られ,ランキングが上位になります.

高いレベルの競技会で順位を獲得したり,一回だけの記録ではなくコンスタントな成績を挙げるとランキングを上げられるため,世界ランキングを高くする方策が世界大会出場の鍵になると思われます.

 

ちなみに記録の順位を「ランキング」という人がいますが,それは間違いです.記録順位は「記録リスト」と呼ばれており,ランキングとは別物なので正しい表記をしてもらいたいと思います.