世界アンチ・ドーピング規程国際基準 禁止表国際基準2020年日本語版が出ました | スポーツ医学・向井直樹のブログ

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今回は11月中に出ました.

https://www.playtruejapan.org/topics/2019/000427.html

 

主な変更点は

主要な変更の要約と注釈常に禁止される物質と方法(競技会()および競技会外)

禁止物質

S1. 蛋白同化薬

1. 蛋白同化男性化ステロイド薬(AAS)

 蛋白同化男性化ステロイド薬(AAS)の下位分類である"a.外因性AAS""b.外因的に投与した場合の内因性AAS"を削除し、すべてのAAS1つの分類に統合した。S1の禁止物質に変更はないが、2つの例示(メチルクロステボールおよび1-エピアンドロステロン)を追加した。この変更は、外因的に投与した際にはすべての蛋白同化薬が禁止されている現状を反映させ、外因性と内因性を区別していない他のカテゴリーとS1とで表記の整合性をとるためである。物質の由来元の決定(例えば、内因性か外因性であるかどうか)は、従来通り、当該のテクニカルドキュメントTD2019IRMSやその他の適用されるテクニカルドキュメント(TD2019NA)やテクニカルレターにより規定される。

2. その他の蛋白同化薬

●LGD-4033は、現在、一般的に用いられているもう一つの名前であるリガンドロールも掲載した。

 

S2.ペプチドホルモン、成長因子、関連物質および模倣物質

再評価後、もはや基準を満たさないと考えられたため、アルゴンは禁止表から削除した。

●TGF-β阻害薬:掲載された物質の主な作用メカニズムをより反映させるため"シグナル伝達"という文言を追加した。現在は"TGF-βシグナル伝達阻害薬"とした。

 

S4. ホルモン調節薬および代謝調節薬

バゼドキシフェンおよびオスペミフェンを選択的エストロゲン受容体調節薬の例として追加した。

 

 

禁止方法

M2. 化学的および物理的操作

蛋白分解酵素の禁止が検体の改ざんに対してのみ言及していることを明確にするため、表現を変更した。蛋白分解酵素の局所および全身的な治療使用は禁止されない。

 

M3. 遺伝子および細胞ドーピング

遺伝子発現に対する遺伝子ドーピングの効果は、遺伝子編集以外の技術によっても得られる可能性があるためM3.1M3.2の分類を統合した。

遺伝子発現を変え得るすべての機序を網羅的に記載するのではなく、かつ広範囲にわたるメカニズムが含まれるように、"遺伝子発現の転写制御、転写後制御、又はエピジェネティック制御"は、"何らかの作用機序によって遺伝子発現を変更する可能性がある"へと変更した。

●"遺伝子サイレンシング""遺伝子導入"を更なる遺伝子ドーピング方法の例として追加した。

核酸に対する標準的な科学用語を反映し、"ポリマー"を削除した。

幹細胞に関しては、禁止表Q&Aの記載を繰り返すが、それらが患部の機能を正常へ回復させ、正常を越えて増強しない限り、外傷治癒のために形質転換をしていない幹細胞を単独(成長因子あるいは他のホルモン類を併用しない)で使用することを禁止するものではない。

 

競技会()に禁止される物質と方法

S6. 興奮薬

オクトドリン(1,5-ジメチルヘキシルアミン)を特定物質である興奮薬の例として追加した。この物質は、近年、いくつかの栄養補助食品中で検出されている。

皮膚、鼻および眼科用経路によって使用されるイミダゾール誘導体が禁止されない投与方法であることを明確にした。

 

S7. 麻薬

明確にするため、すべての光学異性体が禁止されることを明示した。これにより、レボメタドンのような光学異性体も禁止されていることを明確にした

 

S8. カンナビノイド

●S8カンナビノイドの文言をより明確にするため更新した。禁止物質は変更されていない。全ての天然および合成カンナビノイドは禁止されており、これには大麻から調製した物質や合成カンナビノイドも含まれている。天然Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)および合成THC(ドロナビノール等)は禁止される。THCの効果を模倣した全ての合成カンナビノイドは禁止される。

カンナビジオール(CBD)は禁止されない。しかし、大麻植物から抽出されたCBD製品によってはTHCを含む可能性がある。従って、CBD製品でも禁止物質が検出されて陽性結果となる可能性があることにアスリートは注意すべきである。


です.