午前中、少し考え事をしていた。
何を考えていたのかは、もう忘れた。
老後とは、そういうものだ。
台所でコーヒーを淹れながら、
ふと、あることを思い出した気がした。
「何かを、やりかけのままにしている」
そんな感じだけが残っている。
しばらく思い出そうとして、やめた。
思い出せないことは、
今すぐ重要ではない可能性が高い。
そこで、グッドアイデアが浮んだ。
忘れないように、思い出したらすぐメモを取ればいい。
机の引き出しを開けて、
一番上にあったメモ帳を取り出した。
白紙だったので、ちょうどいい。
ペンを持って、考えた。
何を書けばいいのか、
思い出せなくなっていた。
少し迷ったが、
「あとで思い出すこと」
と書いておいた。
これで安心だ。
昼過ぎ、そのメモを見返した。
「あとで思い出すこと」
と書いてある。
なかなか的確な指示だと思った。
ただ、今は「あと」なのかどうかが分からない。
結局、何を思い出しかけていたのかは、
最後まで分からなかった。
だが、特に困ることも起きていない。
任務は失敗したかもしれないが、
被害は最小限だ。
今日はここまで。
楽しまないとね。