「日産自動車」(横浜市)が2007年3月期連結決算で、東京国税局に約680億円の申告漏れを指摘されていたことがわかった。 資産管理子会社に全国の販売子会社の資産を集約するグループ再編にあたり、販売子会社側の債務超過を日産が増資などで事前に解消したため、資産管理子会社が増資分などの利益を得たと認定された。過少申告加算税を含む追徴税額(更正処分)は、税務上の赤字があったため、数十億円とみられる。 日産は納税を済ませたが、処分を不服として国税不服審判所に審査請求している。 複数の関係者によると、日産は06年4~7月、100%子会社で資産管理を行う「日産ネットワークホールディングス」に、販売子会社52社の不動産などの資産を移動して一括管理させるグループ再編を実施。その際、販売子会社をいったん資産管理会社と販売事業会社に分割したところ、資産管理の52社の多くは債務超過だった。このため、日産は421億円の増資を引き受けたり、DES(債務の株式化)という手法で発行された新株を取得したりして、債務超過を解消した。その上で、日産ネット社は日産から資産管理52社の株式を取得して合併。販売事業の52社は日産ネット社の子会社となった。 100%子会社同士のグループ再編のため、税制上の措置で、資産の移転そのものには課税されなかった。しかし、日産ネット社は、吸収する会社の債務超過を増資などで解消してもらっており、その分、利益を得たと判断されたという。 日産広報部は「国税当局に事前に相談した上でグループ再編を実施し申告した。その後、課税対象になると言われた経緯があり、納得できない」としている。