歌手の近藤真彦(45)が19日、親交のある元F1レーサーの片山右京さん(46)の富士山での遭難事故についてコメントした。登山前夜も片山さんと食事していたというマッチは「右京さんの立場を思うと掛ける言葉もない」と気遣った。この日は茨城・下妻市の筑波サーキットで自身がプロデュースした6時間耐久リレーマラソンに出場。大会には片山さんも参加する予定だった。また、片山さんと登山中に遭難し、行方不明になっていた宇佐美栄一さん(43)、堀川俊男さん(34)の2人の遺体が発見された。
片山さんとは20年近く友情を深めてきたマッチ。言葉を選びながら、強いきずなで結ばれた親友の無念を思いやった。「かなり複雑な気持ちです。右京さんが無事に保護されたことはホッとしていますが、宇佐美さんも知っている人なので…。いろんな思いがあると思うけど、掛ける言葉もないですね」。取材に応じた時点では「山にいる2人はなんとか奇跡を信じるしかない」と祈るように話した。
事故前日の17日夜に片山さん、来年からザウバーでのF1参戦が決まった小林可夢偉(23)と都内で食事を共にした。片山さんは翌日に備えるため途中で帰宅したという。「翌朝6時ごろに起きて右京さんに電話したら『今、登ってるところだよ』って。まさかその夜に大変なことになるとは。普段は山に登ってる時なんか電話しないのに、珍しく目が覚めた」。
事故の一報は報道より早く片山さんの事務所を通じて知らされ、「嫌な気持ちでずっとニュースを見ていた」。自身も片山さんの冒険話に触発され、山への挑戦心が芽生え始めていた。「山の事故って今まではひとごとだったけど、自分に近い人がああいう事故に遭うとは。山の怖さを改めて知りました」
1984年にカーレースの活動を始めたマッチは、片山さんがF1に参戦したころに知り合った。「モナコでは空いた時間に裏山に登りにいっちゃうような人。しょっちゅうトレーニングしてました」。片山さんからは車だけでなく、自転車の楽しさも教わり、9月にはトライアスロンに挑戦したほど。「彼はすごく積極的に自転車や山に挑戦している。右京さんから山の話が聞けなくなるかと思うとさびしいね」とうつむきがちに話した。
この日の大会にもゲストに招いていたが、事故の後、片山さんの関係者から欠席の連絡が入った。本人とはまだ話していないという。「今はなんて話していいか分からないけど、近いうちに連絡してみます。言葉を掛けなくても、2人の仲なので会えば分かると思う。彼の精神力を考えれば、また元気な片山右京が戻ってくるはず」。今は親友の傷が癒えるのを待つしかない。
長塚智広(自転車チームスプリント アテネ五輪銀メダリスト)「同じチームで自転車レースに出たこともあるし、右京さんのチャリティーイベントに参加させて頂いたこともあります。一報を聞いた昨日(18日)は本当に心配しました。(遭難者の横で一夜過ごした)右京さんの生命力はやはり違うのでしょう」