幼いころに阪神大震災を経験した若者の15年を描いたNHKドラマ「その街のこども」のダイジェスト版試写会が18日開かれ、主演の森山未來さん(25)と佐藤江梨子さん(27)らが会見した。自身も被災した佐藤さんは「大阪の制作発表の後で、変な質問をされて怒ってしまったんです。でも共演したおっちゃんに『東遊園地(の慰霊と復興のモニュメント)に亡くなった人の名前があるから見なさい』と言われ、友達の名前があったときに、こんなことで怒った私は本当にちっちゃいなと思った。生きてるからできることは無限にあるのに……」と涙で語った。
【写真特集】佐藤さん涙… 会見の様子
ドラマは、幼いころに震災を体験した男女が、震災から15年目の朝を迎えるまでの一晩、当時「語れずにいた思い」をテーマに交流し、新たな一歩を踏み出す……という物語。脚本は映画「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」の渡辺あやさん。
ドラマで、震災後に父の仕事が原因でいじめに遭い、東京へ引っ越した過去を持つ設計士を演じる森山さんは「僕も被災しましたが、こんなにこんな形で神戸の地震とかかわることになるとは思わなかった。かかわればかかわるほど、人の生活があって……。地震はいつ起こってもおかしくない。極端に言えば出会いのようなもの。その積み重ねで、今をどう歩いていくかにつきると感じているところです。今こういうふうに歩いている人もいるんだよ、というのが伝わるといいです」と語った。やはり被災体験を持つ渡辺さんは「中途半端な気持ちでは絶対できない。何よりもいいものにしなければと思った。15年前に地震を体験した子どもたちが、こんなに大きくなってドラマを作るなんて誰も想像しなかったと思う」と思い入れを語った。
放送は10年1月17日午後11時から。同日早朝に撮影する東遊園地での追悼式典のシーンを加えて放送される。