穴吹工務店(高松市)が会社更生法の適用を申請したのに伴い、同社が香川県などから請け負った公共工事の着工や完成が大幅に遅れる可能性が出ていることが25日、わかった。
建設中の丸亀市消防本部の新庁舎は、完成を1か月後に控えて工事がストップ。県教委は県立高松商業高校の校舎改築工事を巡り、計画の再検討を迫られるなど、影響は広がっている。
同市によると、消防本部の新庁舎は老朽化を理由に建設が決定。同社と市内の建設会社2社による共同企業体(JV)が約17億円で落札し、来月末の完成を目指して昨年6月から工事を進めていた。
JV内の企業が破産した場合は、構成する他社だけで工事を継続できるが、会社更生法の適用申請で保全命令が出されると、工事は中断されるという。
再開のめどは立たず、消防本部総務課は「新庁舎には防災行政無線システムを備えていただけに、完成が遅れるのは残念だ」とし、「1か月程度なら現庁舎で対応できるが、それ以上ずれ込むことも想定し、情報を収集したい」とする。
一方、県教委は開会中の県議会に、同社と5億4600万円の県立高松商業高校の2期工事請負契約を結ぶ議案を提出。議決されれば、2011年1月末の完成を目指し、12月中旬に一般教室が入る南側校舎の建設に着手する計画だった。
工事を続行できるか不透明な要素が多く、県教委は対応を協議。ただ、再入札した場合は3か月以上、工事が遅れるため、高校教育課は「会社の意向を確かめ、今後の推移を見極めながら慎重に判断したい」とする。
同高では、図書室などの北側校舎の1期工事しか終えておらず、生徒約880人はプレハブの仮設校舎で授業を受けている。横山賢治教頭は「新入生の募集説明会でも、2年生からは新校舎で授業を受けられると話している。早くきれいな教室で学ばせてあげたいのだが」と困惑している。