トヨタ自動車は12月に家庭の電源から充電できる「プラグインハイブリッド」(PHV)の販売を始める。10月の東京モーターショーには、今年発売したハイブリッド車(HV)の3代目「プリウス」をベースにしたコンセプトカーを出展した。燃費性能は1リットル当たり55キロ。充電した電気だけでの走行距離は航続距離20キロ以上、最高時速は100キロを誇る。「21世紀のクルマ」としてプリウスを世に出して12年。プリウスはどこまで進化するのか。開発担当者の田中義和氏(48)に聞いた。
[フォト] 充電中のプリウス
--PHVの開発コンセプトは
「初代プリウスを出した当時、『けっして充電することのないクルマ』と宣伝してきた。しかし、環境問題や化石燃料の枯渇の状況がより深刻になり、充電という手間を惜しまないようになった。それがPHVのコンセプトになった」
--平成19年7月に最初のPHVの試作車を公開したが
「(評価は)60点ぐらい。航続距離にしてもバッテリーにしてもまだまだだった。EV(電気自動車)走行が一目で分かるようにするためにはどうすればよいかや、制御システムそのものにも課題もあった。それなりに仕上げたつもりだったが、細かい部分としてはトヨタとして出せる(市販できる)かといえば不十分だった」
--開発を進める中で、一番のポイントは
「EVモードでの走行可能距離をどうするかが難しかった。私は2代目プリウスを充電できるように改良し、ほぼ毎日乗っている。EV走行をしているときは、フラットなトルク感、レスポンスも良く、モーター走行の良さをすごく感じたが、それに慣れてしまうと、ハイブリッド走行になってエンジンがかかると、振動で『うるさいな』と思う。距離も短いなと痛感していた」
「ただ、バッテリーをたくさん積めば走行距離は伸びるが、収納に加え、衝突安全性能のクリアも難しくなる。そこで、アンケートした結果、20キロ以上という意見が最も多かった。コストで決めるのではなく、お客さまの利便性を考えて20キロ以上と決めた。バッテリーのコスト、技術を考えれば、走行可能距離を20キロ以上に伸ばすことはない」
--PHVが普及するためには何が必要か
「今後発表する価格は、みなさんが想像するより高くなる。もちろん、その価格で普及するとは思っていない。近い将来、普通に買っていただけるような価格で出さなきゃいかんと思う」
--欧米のメーカーは今後、次々にPHVを出してくるが
「ハイブリッド技術でトヨタはお客さまに12年間、鍛えていただいた。それなりに信頼がある。総合的に負けないものを出していきたい」
