日本航空再建のカギとなる企業年金の削減問題で、政府案の概要が11日、固まった。
確定給付部分で保証している年4・5%の運用利率を年1・5%程度に引き下げるほか、OBの受給者に対して、今後支給される予定の年金を一括して受け取る権利を放棄するよう求める。
これによって、日航の年金積み立て不足(2009年3月末時点で約3300億円)は大幅に圧縮される見通しだ。
日航は今後、利率引き下げについて現役社員とOBそれぞれの3分の2以上の同意を得ることを目指し、一括受け取りの権利放棄も要請する。ただ、OBから同意が得られなければ、特別立法などの措置で年金の強制減額に踏み切る方針だ。
通常、企業年金の利率を引き下げる際には、受給者は年金を一括して受け取り、年金基金から脱退することも選択できる。その場合、企業側は、引き下げ前の利率に基づいて一括払いする必要がある。
日航のケースでは、OBらが利率引き下げに同意しても、多くの受給者が一括受け取りを選ぶことが想定され、年金債務削減効果が限定的になるとの見方が出ていた。
日航への公的資金による支援検討にあたり、政府は公的資金を年金支払いに充てられないと強く主張しており、日航には自力で積み立て不足を解消することが求められていた。
藤井財務相は11日午前、日本航空の再建問題について「少なくとも社長を中心とする責任は免れない」と述べ、西松遥社長ら現経営陣が辞任すべきだとの考えを示した。