■減税と増税が交差 平成22年度の税制改正に対する各省庁からの要望が30日、締め切られた。中小企業の法人減税など鳩山政権の重点政策に歩調を合わせ、「生活支援」を重視した減税要求が並ぶ一方で、地球温暖化対策税(環境税)の創設を求めるなど「環境」シフトを強めたのが特徴だ。一方、鳩山由紀夫首相は同日夜、たばこ税の増税について前向きな姿勢を示した。政権内に来夏の参院選を見据えた「減税」と、重要政策の財源を確保しながら財政難にも対処するための「増税」が交錯している。
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各省庁の要望は、政府税制調査会(会長=藤井裕久財務相)に提出された。要望のうち、最大の目玉ともいえるのが環境省が提出した環境税の創設だ。環境税は、ガソリンや軽油などの化石燃料に広く課税される税。2兆円規模の税収を見込んでおり、小沢鋭仁環境相も「来年度からの実施は十分に可能」と早期導入に意欲を示している。
環境税導入と表裏一体の関係にあるのが、民主党がマニフェスト(政権公約)に掲げる来年4月からのガソリン税などの暫定税率廃止だ。廃止に伴う税収減は2兆5千億円に上り、環境税を「暫定税率の代わりに導入すべきだ」との意見の一方で、慎重論も強く、調整は難航が予想される。
厚生労働省は、健康対策を名目にたばこ税の増税を要望した。当初は、「1本あたり10円、主力商品で1箱300円を500円に値上げ」を明示する方針だったが、販売店や葉たばこ農家などへの配慮もあり、見送った。だが、政府は増税をあきらめてはいない。
鳩山由紀夫首相は30日夜、「私はたばこを吸わない。環境、人間の体の面から見てどうかということ。増税という方向はあり得べしかなと思う」と語り、増税に前向きな姿勢を示した。ただ、「国民の信頼がなければ、税金を上げることはなかなかできない。無駄遣いを削る努力をみてもらう中で結論を出す」とも語り、安易な増税論にくぎを刺すことも忘れない。
ほかにも、マニフェストに関わる要望が次々と寄せられた。経済産業省は中小企業の支援対策として、中小企業の法人税を現行の18%から11%に引き下げるよう、新規要求項目に盛り込んだ。増子輝彦副大臣は「強く要望して勝ち取りたい」と鼻息も荒い。
さらに、文部科学省は、高校生や大学生の子供がいる家庭を対象とした所得税の「特定扶養控除」の維持を求めたが、同控除は税調の一部から、控除額の縮小などを求める声も上がっている。
新政権下の税調は、「ペイ・アズ・ユー・ゴー(財源なくして減税なし)」として、各省が新たな減税措置を要求する場合は、それに見合う財源を提示させる考えだった。だが、今回の要望では、増減収のバランスを欠く省庁も多かった。
税調は今後、各省庁への聞き取りを開始し、集中審議をスタートする。12月中ごろをめどに、22年度の税制改正案を取りまとめたい考えだ。