「温室効果ガス削減対策税や道路利用税などの抜本的な改革も必要だろう」
1990年比2020年25%削減発表より、温室効果ガス削減対策税の創設もあるのだろうか? その一方、何らかの環境対策増税も覚悟しておく必要もあるだろう。鳩山総理は、国連の温室効果ガス削減会議で、日本のCO2の削減目標を1990年比25%と世界公約してしまった。産業界のみならず、国内議論を全く抜きにしての発表は遺憾に思うが、「全主要国の参加による意欲的な目標の合意が前提」とあるので、米国は勿論、中国やインドも参加するなら、日本も本気で取り組まなければならないだろう。
では、1990年対比25%の削減のために一体いくらコストがかかるのだろうか。この問題は改めて別の機会に取り上げたいと思うが、例えば太陽電池普及のために、余剰電力の買取単価を売電と同じ24円から、一気に倍額の48円にする訳だが、そのコストは全世帯の電気料金を一世帯当たり、例えば500円程度上げれば対応出来るようなので、電力会社の懐は痛まない。
石油分野に多くかかっていた税金を、電力利用者からも取る話なので、石油業界として文句は言えないだろう。仮にガソリン暫定税24円は、公約通り全額廃止されたが、例えば炭素税が12円、年間総額1兆円が増税されるなら、やむを得ない範囲だ。実は、正直申し上げると世界的に見れば日本のガソリン税は実は高くない。OECD29カ国中、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアに続き4番目に安い(2006年第2四半期財務省発表)ことはあまり知られていない。米国も中国もインドもやるなら、業界も国民も納得出来るレベルだと思う。
ガソリン税、軽油税と言ってもそれは道路使用税、電機自動車は負担しなくていいのか今までのガソリン税は、道路を作るための目的税だから、正確には道路利用税だ。しかし電気自動車は道路を走っているのに今はこの道路利用税を今は全く払っていないが、これはやはりおかしいだろう。もし道路利用税なら、ガソリン車も電気自動車も、重量と絶対走行距離で課税されるシステムが必要だ。カーナビとETCで、走行税を取ったらどうかという話がある。発想は正しいと思いますが、莫大なシステム費がかかるのは問題だ。ETCメーカーも「高速道の無料化でETCは必要なくなる?」と心配している。そこで私は、車検時に累積走行距離で課税すればローコストで出来る公平な課税方法だと思う。例えば3万キロメートル走ったら普通車で3万円。軽自動車なら2万円、大型なら4万円等を徴収する方法なら、新たなハードやソフトの投資は皆無だ。道路走行税ではなく、炭酸ガス排出税なら、電気自動車はその課税を免れ、ガソリン、軽油、LPGタクシー、天然ガス等の化石燃料が狙い撃ちされる。業界人としては問題ありと思うが、道路を作るためでなく環境対策税なら、間違っているともいいきれない。
高速道路の1000円政策で、土日祝祭日の高速は大渋滞となった。また1台あたりの走行距離も伸びたようだが、どう考えても環境には良いとは言えない。またバスやトラック等の営業・業務用は、安くならないばかりでなく、走行時間が増え、効率が悪化し、コストUPになったのは、明らからに不公平だ。ではどうすればよいのか。私は、自家用も営業用も等しく、そして平日の休日も関係なく、まずは上限を5000円、4000円、3000円とする一方、10%、20%と割引を増やし、その渋滞をみながら段階的に下げていくのが良いと思う。そして既にある高速道路の維持費くらいは、高速道路の利用者からの収入でまかない、一般財源には頼らないのが、税の公平性の観点からもよいと思う。
古くて新しい問題だが、ガソリン税にも5%の消費税がかかっているのは、国民感情的にはおかしいので、例えば軽油取引税(税抜き単価に5%を課税)のような徴税システム変更して頂きたく思う。また もう一つ納得が行かないのは、我々は、国に代わって税金を徴収しているのに、不幸にして起きた貸し倒れは、倒産した人がガソリン税を納めなかった訳だが、現在はこれを当たり前のようにSS業者が納めている。法人税だって固定資産税だって、倒産した会社からは、国も自治体も取れないりのだから、ガソリン税も倒産還付制度があってしかるべきだろう。
中小企業重視は大歓迎だが、関東大震災直後でもないし、救済すべき企業とそうでない企業の差が不明なので本制度の実現はむずかしいだろう。よって石油業界への支援(補助金)の経験から申し上げれば、SS業界で今後も社会的責任を果たすべく、経営的には辛いタンクの入れ替え工事等をする「やる気のある会社への補助」と、業界から撤退を余儀なくされた会社が、タンクの撤去やその後の土壌汚染が万一見つかった時の土壌改良費への補助等は、今までも素晴らしい政策なので、そちらの方をより拡充して頂ければと思う。
日本は事実上無資源国だ。原油は99.6%を輸入に頼り、天然ガスや原発用のウラン鉱石も同様だ。資源が有限である以上、また手の届かない高値になる可能性はあるので、今の日本に一番必要なのは、石油や天然ガスやウラン鉱石等のエネルギー資源と、技術立国日本を支えるレアメタル等の希少金属などの資源獲得のための「財源」ではないだろうか。これは私の夢に近い案だが、元売を含むエネルギー供給会社の税引前利益の半分を「原油等資源開発投資損失引当金」として、積み立てるのだ。その総額は1社で例えば1兆円。更に電力会社のウラン確保や都市ガスの天然ガスも含めエネルギー業界全体で少なくとも10兆円くらいの財源を、引当金という損金で、無税で、事前に積み立てるのだ。それを財源として5年以内に積極的に投資する。成功すれば、企業の利益となって現れるだろうから、その時点で課税すればよいのだ。また先に損金として計上しているので、経営者も安心してタイムリーな積極投資が出来るだろう。
既に、「海外投資等損失準備金制度」はあるが、この規模は国全体で年間40億円程度の単なる減税制度なので「資源エネルギーの確保の為の国家戦略」とは全く違う。これは石油業界だけでなく、電力ならウラン、都市ガスならLNG、また技術立国日本を支える希少金属(レアメタル)の資源確保に至るまで、その適用枠を広げる必要があると思う。バブル崩壊以降の失われた10年で、国が金融機関に支援したと言われる金額は約70兆円。産業の血液とも言われるエネルギーの確保なので民主党政権も本気で考えてほしいと思う。
