稼働率の低迷に苦しむ高級ホテルが、次々に格安プランを投入し始めた。1泊5万円以上の高級ホテルでも、探し方次第では、驚くほど安く宿泊できる。最得予約術を探った。
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ラグジュアリーホテルが1泊2009円、連泊で1泊分無料、一定期間内の予約で50%オフ、直前予約なら80%オフ──。昨秋のリーマン・ショック以来、高級ホテルの割引合戦が激化している。海外ビジネス客の激減で空いた客室を埋めたいホテル側が、国内のレジャー客を取り込むため、こぞって安いプランを投入しているのだ。
なかでも特に目を引くのが、ザ・ペニンシュラ東京の1泊2009円のプラン。チャリティの名目で、月10室限定で販売したところ、人気が沸騰。実際に予約を試みたが、全く取れなかった。これほどの激安プランはまれだが、実はほかの高級ホテルでも、驚くような値付けのプランが増えている。
稼働率が低迷し、宿泊料金が大幅下落
昨秋以降、ホテルの平均宿泊単価は下がる一方。稼働率は、この夏やや持ち直しているものの、ビジネス利用の外国人宿泊客は依然少なく、宿泊料金の高い高級ホテルでは、今も苦戦が続いている。
ペニンシュラが1泊2009円!超人気、限定プランに挑戦した
ザ・ペニンシュラ東京ではチャリティの名目で、1泊2009円という驚きの激安料金で、デラックスルームに宿泊できるプランを月10室限定で販売している(12月まで)。予約の受け付けは毎月1日の朝9時から先着順。そこで試しに、8月1日の9時ジャストに専用予約番号(TEL:03・6270・2200)に電話してみた。しかし、何度かけても話し中。結局、電話はつながらず、数分後には、受け付けが終了した旨の録音音声が流れるように。ハードルは極めて高いが、群を抜く激安料金。チャレンジする価値はあるだろう。
宿泊予約サイトを開くと、目に飛び込んでくるのは、○割引き、○%オフの文字。だが、「目先の割引率の大きさで判断してはダメ」と楽天トラベルの神山一彦社長室長は指摘する。高級ホテルには、急激な値下げでブランドイメージを損なうわけにはいかないという事情がある。とはいえ、客室を埋めることは火急の課題。そこで各社とも、大幅な値下げをあからさまに見せないプラン作りに知恵を絞っている。最近は多くのホテルが、割引率をできるだけ抑えて付加価値で勝負するか、予約時期や滞在時間を制限し、理由のある大幅値下げを行い始めている。
格安プランは主に2パターン
【料金据え置き】付帯特典の強化
ホテルのブランドイメージ低下を防ぐため、宿泊料金の値下げはできるだけ抑え、食事やスパ、ワインのルームサービスといった特典を付けてコストパフォーマンスを高めるケースが増加。
無料アップグレード
無料で部屋をアップグレードするプランも多い。スタンダードルームを予約すれば、それより1~2ランク上の部屋に宿泊できる。料金を下げずに、利用者に満足感を与えることが可能。
【料金の値下げ】滞在時間の短縮
18時以降など、チェックイン時間を遅くして滞在時間を短縮する代わりに、料金を大幅に割り引く。当日キャンセルや売れ残った部屋を、激安料金で宿泊予約サイトに流すパターンも。
早割・連泊の激安化
早期予約や連泊時に宿泊料金を安くするプランは以前からあったが、最近はこの割引きが激化。連泊割引では、2泊予約すると、2泊目が無料になるケースが多く、実質1泊50%オフだ。
付加価値として、豪華な特典を盛り込んだのが、ホテル西洋 銀座が扱う女性限定の「W’s」。ワイン、バトラー特製サラダ、つまみ、パスタに朝食まで付いて2人で1泊4万円からというプランだ。室料だけでも十分安いが、付帯サービスを金額換算してみると2万円以上。これがさらに得になる。