軽自動車メーカーが、販売の本格回復に向け攻勢をかけ始めた。エコカー減税の対象車種を急ピッチで拡大しているほか、10月から開かれる東京モーターショーにハイブリッド車(HV)並みの低燃費車を出展するなど軽自動車の性能を広く訴える。HVなどに押され売り上げが落ち込んでいたが、8月の販売台数は前年比5.1%減と下落幅が前月より縮小した。各社とも一段の巻き返しを図り、低燃費車の“主役の座”奪還を目指す。
[グラフで見る]軽自動車の販売増減率の推移
「減税などの影響が出ている。年初予想した年170万台の販売見通しは実現するだろう」。8月下旬、ダイハツ工業の箕浦輝幸社長が発言した通り、同月の軽自動車販売は、前年比約5.1%減の11万286台となり、下げ幅は7月より約2ポイント回復した。9月は25日現在、前年同期比9.9%減の約8万9800台で、残り3営業日の猛追に期待がかかる。減税対象の人気軽自動車は9月も“快走中”だ。最も売れているのはスズキ「ワゴンR」で、25日現在約1万100台。8月に続き軽自動車の月間首位を射程にとらえた。それを約500台差で2位のダイハツ「ムーヴ」(約9600台)が追う。
8月の販売台数は登録車が前年比2.3%増と軽自動車より一足早く前年超えした。9月も25日現在、トヨタ(レクサス除く)が前年同期比11%増、ホンダが同33%増と相変わらず堅調だ。軽自動車の回復が遅れた理由は減税額が登録車より少ないことなどだが、最近は「車体価格の安さ、環境性能の良さなどを総合的に考えると、軽自動車の方がお得だというお客さまが増えてきた」(業界関係者)という。
そうした中で、各社が加速させているのは減税対象車の拡充だ。ダイハツは1日、「ムーヴコンテ」などに減税対象モデルを追加。年内にも投入する新型軽自動車も減税対象とする。スズキも17日、「パレット」の燃費性能を高め対象とした。また各社は、軽自動車の性能のPRも強化。ダイハツは東京モーターショーにエンジンを改良し環境性能を格段に高めた軽自動車を展示する。燃費は1リットル=30キロ前後とHV並みになるとみられ、市販価格が安ければ買い得感を感じるユーザーが増えそうだ。