経営再建中の日本航空に対し、世界最大の航空会社米デルタ航空、同2位のアメリカン航空の親会社、AMRが相次いで支援に名乗りを上げた。資本・業務提携で経営を強化したい日航、アジア路線を充実させたい米の2社、日航再建を監督する国土交通省や金融機関の思惑が交錯し、支援が転じて、「日航争奪戦」の様相を呈してきた。
デルタは成田-北米路線の約3分の1を占める最大手だ。日航にとって不採算路線の整理は最大の課題で、北米路線などで廃止・減便を進め、デルタとの共同運航(コードシェア)に切り替えれば、収支改善効果は大きい。
そのデルタが、日航に急接近してきた背景にあるのは、民主党政権下で進展が期待される日米政府の「オープンスカイ」交渉だ。国際的に航空市場を開放し合うオープンスカイが成立した場合、日航は同じ国際航空連合「ワンワールド」に所属しているアメリカン航空との間で航空券を同一の割引体系で販売するなど連携を強化し、両者の関係はより緊密になる。
これに対し、別の航空連合「スカイチーム」に属するデルタは事実上、日航を取り込む余地を失うが、デルタにとっても、アジア路線の充実した日航との提携は「成長戦略を描ける」(関係者)ドル箱で、譲れない選択肢だ。
ただ、航空会社が加盟する航空連合を変更するのは異例で、「デルタと提携すれば、システム変更で膨大な作業とコストが必要になる」(日航)。また、デルタ傘下のノースウエスト航空は外国航空会社としては最も多くの発着枠を成田空港に持ち、米国の独占禁止法に抵触し、枠の一部売却を迫られる可能性もある。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は、AMRが6月に日航に提携強化を打診し、米航空当局の承認を得る非公式協議を行っていると報じたが、アメリカン航空の最大のネックは、「財務体質が疲弊している」(航空アナリスト)点だ。日航への支援態勢は万全ではなく、資金力のあるデルタに軍配が上がる可能性もある。