静岡県沖で11日早朝発生した地震が、夏の観光シーズンを迎えた各地に影響を広げている。
観光地では宿泊予約のキャンセルも相次ぎ、バカンスを待ちわびていた観光客と、かき入れ時に期待する業者の双方が地震によって出ばなをくじかれた格好となった。その一方で、通行止めの東名高速を迂回(うかい)するルートでは、思わぬ需要も起きている。
◆観光地◆
伊豆長岡温泉旅館組合(静岡県伊豆の国市)によると、地震が発生した11日は、加盟する40軒の旅館やホテルで計約150人分の予約取り消しがあった。
このうち、客室42室をもつ老舗旅館「小松家八の坊」では、11日は5件、12日以降も計4件がキャンセルに。おかみの望月妙子さん(52)は、「お盆のかき入れ時なのに、がっかり」。地元の観光関係者は「温泉地は大丈夫なので、安心して訪れて」と話す。
カップルら年間20万人が訪れるという伊豆市の「恋人岬」にある「愛の鐘」は地震で損壊。沼津市戸田(へだ)の国指定重要文化財「松城家(まつしろけ)住宅」でも、「東土蔵(ひがしどぞう)」の海鼠(なまこ)壁がはがれ落ちたり、「石垣」が崩れ落ちたりした。同市は修復方法を文化庁と協議する予定だが、ほかの建物には損傷がなく、16日の一般公開は予定通り行う。
◆迂回路◆
東名高速道路の通行止めの影響で、迂回路となった静岡市の国道1号は朝から大渋滞に。付近のコンビニエンスストアでは、駐車場に県外ナンバーの車がずらりと並ぶ。11日の売り上げは通常の2割増。12日も朝から来店者が途切れることなく、午前中におにぎりが売り切れた。男性店長(27)は、地震がもたらした“特需”に複雑な表情。「こういう事態を想定して商品を発注していないので、欠品が出ないか心配」と忙しそうだ。
◆サービスエリア◆
一方、同じ東名高速道路・上り線の通行止め区間内にある静岡県牧之原市の牧之原サービスエリア(SA)。レストランやトラック運転手向けの食堂などがあるが、この日、店を開けたのはコンビニエンスストアだけだ。
同SAには一般道からも入れるが、客の比率は9割が高速利用者。駐車場はガラガラで、「一般の利用客はなく、復旧工事の作業員が利用してくれるかなと開けただけ」と担当者は話す。
◆高速バス◆
高速バスも迂回を余儀なくされている。ジェイアールバス関東(東京都渋谷区)は12日、一部通行止めとなっている東名高速道路を使って東京と名古屋、浜松を結ぶ46便のうち、14便を運休し、32便は通行止め区間だけ一般道を迂回して運行する。到着時間は1時間半ほど遅れる見通し。
甲子園球場で開催中の全国高校野球選手権大会に13日、出場する日大三高(東京都町田市)では、応援の生徒約400人が乗るバス13台の出発時間を1時間繰り上げ、12日午後7時に学校をたつことに。過去の大会では、東名高速を使っていたが、今回は中央道の迂回ルートを使う。
引率役の福原寿一教諭は「帰省ラッシュに重なるうえ、今年は高速道路の料金値下げもあるので、中央道も混雑するかもしれない。予定通りに到着したいのですが……」と気をもんでいた。
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