□浮き沈みの激しさ…精神的不安が動機
芸能界の薬物禍が止まらない。自宅に覚醒(かくせい)剤を隠し持っていたとして、覚せい剤取締法違反容疑(所持)で逮捕された女優の酒井法子容疑者のほか、MDMA(合成麻薬)を使用したとして、麻薬取締法違反容疑(使用)で俳優の押尾学容疑者も逮捕された。華やかな世界に見えるが、絶頂と孤独が同居し、天国と地獄の落差は激しい。芸能人が、次々と違法な薬物に手を染めるのはなぜか-。
[フォト]豪雨の中、オレンジの服で送検される酒井容疑者
今年だけでも、薬物をめぐって逮捕された芸能人は、元タレントの小向美奈子さん(1月)▽元「はっぴぃえんど」ギタリストの鈴木茂さん(2月)▽俳優、中村雅俊さんの長男、俊太さん(4月)-と少なくない。
さらにさかのぼれば、平成13年にはタレントのいしだ壱成さんや田代まさしさん、18年に「ドリームズ・カム・トゥルー」の元メンバー、西川隆宏さん、20年には俳優の加勢大周さんらも薬物に手を染めた。
警視庁の捜査関係者は「芸能人が多く出入りする六本木などの繁華街では、薬物の密売が行われることが多い。暴力団とのつながりをうわさされる芸能事務所も多く、一般人より薬物が手に入りやすい環境にあることは間違いない」と指摘する。
また、「芸能人はお金を持っているので、覚醒剤など価格が高い薬物にも手が届く。浮き沈みの激しい業界ゆえか、精神的に不安定で、それが薬物に手を出す動機になっていた芸能人もいた」と振り返る。
酒井容疑者は平成10年、覚せい剤取締法違反容疑(所持)で逮捕された自称・プロサーファー、高相祐一容疑者(41)と結婚し、翌年長男を出産。復帰後はCMなどで母親や家庭人の優しいイメージを保ってきたが、家庭内での不仲説や別居もささやかれていた。
押尾容疑者も、19年に女優の矢田亜希子さん(30)と結婚、1児の父となるが、最近は矢田さんと別居状態と伝えられ、その後離婚、ここ数年はメディアへの露出も減っていた。いずれも、「表と裏」のギャップに苦しんでいたようにもみえる。
精神科医でヒガノクリニック院長の日向野春総(ひがの・はるふさ)医師は「漠然とした不安やストレスを抱いている人ほど、鬱病(うつびょう)の薬を飲む感覚で大麻や薬物に手を出すケースも多い。芸能人は自分が落ち目であることに非常に敏感」と指摘する。
こうした現状から、芸能界として薬物対策に乗り出すべきだとの意見もある。
芸能リポーターの梨元勝さん(64)は「芸能人としての特権意識や、『逮捕されても復帰できる』といった甘えの意識、業界の構造的問題も影響しているのではないか。芸能界も、角界のように抜き打ち検査をやるなど業界全体で薬物撲滅に取り組むべきだ」と警鐘を鳴らしている。