イチローと首位打者争いを繰り広げるマウアーの素顔 | フィトンチッド 花粉症 SEO アクセスアップ C.Iサポートセンター

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その柔和な表情を見ていると、史上最強捕手というイメージは全くわいてこないし、クラブハウスでの立ち居振る舞いも控えめで、26歳という若さで首位打者を2度も獲得したスーパースターとは思えない。気のいい隣のお兄さんというのが率直な印象だ。ジョー・マウアー(ツインズ)はしかし、静かに熱く、イチローとの一騎打ちの様相を呈してきたバットマンレースを制して、捕手として史上初の3度目の頂点を目指す――。

 おそらく最後の最後までしのぎを削ることになる2人は、偶然にも今季の開幕に出遅れた。イチローが胃潰瘍(かいよう)を患ったのに対し、マウアーは腎臓手術で4月の試合をすべて欠場した。

「ベッドから起き上がれないほど痛かったこともあった。以前から腎臓の具合がよくなかったので思い切って手術した。おかげで長年の痛みから開放されたよ」と、ソフトな口調で微笑さえ浮かべて語る。そんな病気を抱えながらセンセーショナルな活躍を続けてきたとは、驚きというほかない。

 5月に戦列に加わると、いきなり打棒爆発。得意の広角打法で打ちまくり、一時は4割打者誕生か、という気の早い報道もあった。しかし、それよりも何よりも驚かせたのは本塁打の量産だった。わずか2カ月ほどで自己最多の13本を更新し、7月27日(日本時間)現在で17ホーマーをマークしている。

「パワーアップの秘訣? そんなものはないよ。経験を積んできたことが実を結んできたのだと思う」と、いたって謙虚だ。

■地元ミネソタで生まれ育ったスーパースター

 生まれながらの野球選手と言ってもいいだろう。いつから野球を始めたのかと訊ねると、彼は少し考えるように間を空けて、「オムツをしていたときから」といって笑った。

 コーチはマイナー選手の経験を持つ祖父ジェイク。左で打つように指導した“恩人”でもある。兄2人に混じって、バットを振り、ボールを投げる。生まれ育ったツインズの本拠地球場に程近いミネソタ州セントポールは冬の寒さが厳しい土地柄。雪も降り積もる。その間は自宅の地下室がトレーニング場になった。祖父と父親が作った特製の打撃練習器具でスイングを繰り返した。現在の鋭いスイングと巧みなバットコントロールはここから生まれた。

 運動能力は並外れて高く、リトルリーグでは投手を始め、あらゆるポジションをこなした。捕手に落ち着いたのは中学のとき。高校時代にはアメリカンフットボールのクォーターバックとして大活躍、オールアメリカンにも選ばれ、ミネソタでは最も知られた高校生だったという。

「ジョーのすごいところは、10代からスターだったのに、そういうそぶりが全くないところだ。地元出身で期待もプレッシャーも高いのに、最初から動じることもなく、プレーに集中している。試合に臨む姿勢、練習態度、研究熱心さ、どれをとっても素晴らしい。どこまで進化していくのか。本当に楽しみな選手だ」と、ツインズのロン・ガーデンハイヤー監督は褒めちぎる。


■お互いを認め合うイチローとマウアー

 それだけの選手であることは、確かだ。イチローでさえ、マウアーが規定打席に達し、打率トップの座を奪われた翌日、次のように語っている。
「ほかのしょーもない選手だったら、ちょっとカチンとくるけどね。マウアーやったら許す」

 マウアーはそのイチローをどのようにみているのだろうか。
「ボクとは全く違うタイプの打者だし、ライバルというよりは偉大な打者としてみている。8年も続けて200本安打を打てるというのは本当にすごい。内野安打が多いのは気にならないよ。打球をフェアグラウンドに転がしてスピードを生かす。それが、彼の個性なのだから」

 この調子でいけば、7月27日時点で4厘差の3割6分3厘でトップに立つマウアーとイチローは「抜きつ抜かれつ」を繰り返すことになる。

 それでも、マウアーは涼しげな表情で言う。

「ボクがこだわっているのは試合に勝つということ。まず、どんな形でも出塁して、走者がいるときにはかえして勝利に貢献する。ワールドシリーズに出場できるなら、打率を残せなくても十分満足だよ」

 9年連続200本安打のメジャー記録更新に燃えるイチロー、ワールドシリーズ優先を口にするマウアー。そのゴールを目指す中で、ハイレベルな戦いが続いていく。