女優、タレント、モデル、ファッション・デザイナー、セレブ…。さまざまな顔を持つ神田うの。かなり華やかな人生に思われがちだが、「芸能界を辞めようと思った時もある」と告白するなど、世間の目からは感じられない何かを彼女自身の中で抱えていたようだ。今回、そんな神田に話を聞いてみたが、いくらか突き抜けた感じを覚えた。その答えはどうやら神田のデザイナーとしての活動にあるようだ。
【その他の写真:ゲスト出演する「和風総本家」の撮影場所である、趣のある料亭の玄関先で】
神田が仕事としてデザインを始めたのは、約9年前にさかのぼる。「神田うのはどうやらオシャレさんらしい…というのがバレたみたい」と少しテレながら当時を振り返った。神田にデザインの仕事をオファーした下着メーカー・グンゼ(株)との付き合いは、それ以来現在も続いている。「自分の視点からストッキングに関するアドバイスをしました」と、ポイントはあくまで自分流。特別にデザインの勉強を積んだわけではなく、神田の強みは“素材・生地を知っている”ということ。デザインは素材、生地によってガラッと変わるが、神田はその恵まれた家庭環境で育ったため、これまであらゆる素材の洋服を着てきているため、体が知っている。「自分の人生、生きてきた上での経験」が神田にとっての“勉強”そのものなのだ。
その時にデザインしたストッキングが爆発的なヒットを記録し、神田は本格的にデザインの道へと足を踏み入れていく。その時、神田は芸能界での成功では感じたことのない充実感を覚えたという。――作ったものが人に買われて、喜ばれる。単純なことですけど、すごくうれしかった――。それからは、ランジェリー、ウエディングドレス、ジュエリーなど、デザインアイテムを増やしていく一方、日本ネイリスト協会主催の“ネイルクィーン”、日本ファッション・エディターズ・クラブ賞、ヘアービューティー2000賞、第1回シューズベストドレッサー賞などファッション関連の数々の賞を受けていく。
そして、'08年5月に自身のブランド「UNO KANDA」を立ち上げた。女性の永遠のテーマでもある“かわいらしさ”に徹底的にこだわり、ハートやリボンを多用したアイテムを多数発表。20代中盤から30代のアクティブな女性をはじめ、幅広い層からの支持を集めている。だが、それまでは自身の名前を冠したブランドの立ち上げには抵抗があったそうだ。「“自分の名前の付いたブランドなんて照れくさい”という感覚がありました。ただ、そのころ、ちょうど今の夫と婚約した時期だったんです。本名も変わるので、“神田うの”という名前を付けることに恥ずかしさがなくなってきました」と振り返る。
デザイナーとしてのブレは一切見られない神田だが、アイデア自体も次から次へと浮かんでくるそうだ。「デザインは旅先での経験にインスパイアされることが多いです。ロスで見たサンセットの色、オペラの衣装や舞台装置…日々楽しく生きていくこと、めいいっぱい生きていくことからデザインが生まれてきます。レストランで飲んだシャンパンの色や泡の形などから実際にジュエリーが生まれたということもありますし。デザインとして形にすることは“自分の中から出していく作業”ですよね。そのためには“自分の中に入れていく”作業が必要になってくる。そのためには、行きたいところに行く、食べたいものを食べる、やりたいことをやる…すべてがデザインのもとになるんです」と語る。
楽しそうに語る神田の目にはやっぱり迷いがない。その目の強さを感じてこう尋ねてみた。「今、(人生)楽しいですか?」――。「デザインをしている時ももちろんつらいこともあるし、うまくいかないこともあるし、“つらいカラー”“うまくいかないカラー”もあるけど、すべてをひっくるめて“楽しいカラー”になってます」と顔をほころばせた。
ストッキング、ウエディングドレス、ジュエリーなど手広くデザインを手掛けているが、意外かも知れないが“女性服”だけは自分でデザインすることはない。「わたしは作り手ではあるけれど、その前に“ファッションおたく”なんですよ(笑)。服をデザインしてしまうと、さまざまな場面で自分がデザインした服を着なければいけないことが増えるでしょ? まだまだいろんな服を着たいから」とその理由を明かしてくれた。
“とことん人生を楽しむ”――神田の話を聞くと、そのスタンスに揺るぎがないことが分かる。そんな神田が6月29日(月)放送のクイズバラエティー「和風総本家」(テレビ東京系)のスペシャルにゲストとして出演する。その回のテーマは「日本の強い女24時」。手に職をつけてさまざまな職業に従事する日本の女性たちを紹介していくという、神田にも重なるテーマだ。実際に神田も「同じ女性として、頑張っている女性が見られて励まされました」と大いに刺激を受けた様子。その収録で神田が一番感じたのは、夫婦で大工をしている女性が発した「仕事があるからプライベートが楽しい」という言葉だったという。この考えは、今の神田の価値観にピッタリと当てはまった。彼女の考える理想の女性像は「働きながら家庭もうまく回している女性」だという。「結婚前と結婚後でも自分が自由に使える時間が変わってくるし、子どもができると、自分の時間を作るのがさらに大変になると思うんです。大変なことが“倍々ゲーム”のように増えていく…。1つのことだけ極めることは才能があればできると思うんですけど、家族を作っていきながらだとそう簡単にはいきませんからね」と語る。
折しも、神田は映画「BABY BABY BABY!」(5月23日公開)で初めての妊婦役を体験した。その公開舞台あいさつで神田は、「1人の女性としてとても勇気を頂けた作品。近い将来、ぜひ子どもを授かりたいと思えるようになった」と母になることへのあこがれを語っている。この日のインタビューでも「自分がどれだけできるか生んでみないと分かりませんが、やっぱり子どもは欲しいですね。日々成長していくということは、子どもを育てることは一番の“プロデュース業”だと思うんです。生まれたら、自分が母にやってもらったことは、子どもにもやってあげたいな…」と母性本能を見せた。
結婚、出産を経験したら神田うの、そして彼女のデザインがどう変わっていくのか…それもまた楽しみだ