ミズノは21日、6月にもフランスとイタリアで競泳用水着の販売に乗り出す方針を明らかにした。ミズノ製水着の「欧州進出」は、初めて。昨年の北京五輪で多くの選手が着用した英スピード製水着「レーザーレーサー(LR)」に対抗、3年後のロンドン五輪での選手着用の拡大に弾みをつける方針だ。
ミズノが販売する競泳用水着は、今月15日から国内の一部店舗で先行発売している新型競泳用水着「SST-100シリーズ」(レディス用ロングスーツで5万9850円)。
北京五輪における25の世界新記録のうち23はLRを着用して達成するなど、ミズノなど国内メーカーは後れを取った。しかし、19日まで浜松市で開かれた日本選手権で、ミズノと契約する寺川綾選手が「SST-100シリーズ」を着用して3冠に輝くなど、“復活”を遂げつつある。LR同様に水着表面にポリウレタンのパネルを張り付ける手法を採用し、パネルを張る位置や形状に工夫を凝らしたのが特徴だ。
■ロンドン五輪、拡販の勝負
ミズノが進出するフランスとイタリアでは、競泳用水着のほかタンクトップ、キャミソールといったフィットネス用の水着も販売する。来年3月末まで試験販売を実施し、4月にも本格販売をスタートする考えだ。
ミズノ製のスポーツシューズなどを販売するスポーツショップで水着を取り扱うほか、10年度に両国で年間2億円の売上高を目指す。すでに進出している中国、韓国、台湾を含めアジア全体においても、10年度に4億円の販売目標を掲げている。
欧州進出にあたってミズノは今月、北京五輪二百メートル自由形金メダリストで、ファッションモデルも務める人気選手、フェデリカ・ペレグリニさんとアドバイザリースタッフ契約を締結。同選手は「ミズノ」ブランドの水着を着用するとともに、改良や開発に対するアドバイス、広告宣伝やプロモーション活動に協力する。期間は2013年3月までの4年間で、12年のロンドン五輪を視野に拡販を進めるシナリオを描いている。
現在、国内において競泳用水着を展開するのはミズノ、アシックス、ゴールドウィン、デサントの4社。ただ、ゴールドウインはレーザーレーサー(LR)の日本における製造販売権を持つのみで、海外展開ができない。
日本選手の要望に応じる目的で提携する伊アリーナ社と一線を画して商品開発を進めてきたデサントも、提携契約上、欧州販売はできないという。一方、一昨年5月末までスピード社とライセンス契約を結んでいたミズノは、自社ブランドの展開のため契約を解消。42年ぶりに独自商品の開発に乗り出した経緯がある。
景気後退で主力のゴルフ用品の需要が世界的に低迷し、ミズノの09年3月期の業績は03年3月期以来の最終赤字に転落する見通しだけに、欧州での認知度向上を通じ、売り上げ回復につなげたい考えだ。ただ、日本水泳連盟は今月20日、今季の国際大会での着用水着の「自由化」を決めており、スピード社も日本選手の着用に向けて、力を注ぐのは間違いない。国産水着がロンドン五輪を席巻するには、さらなる開発努力が必要となる。