経営危機にある米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの当面の事業継続のため、米政府が追加の短期運転資金を提供する見通しとなった。両社の要請を受けGMに最大50億ドル、クライスラーに5億ドルを供給する。ただ、政府が本格支援の前提としている金融機関や労組との債務削減交渉は停滞したまま。特にイタリア大手フィアットとの提携を迫られているクライスラーは破綻(はたん)が回避できるかどうか瀬戸際の状況だ。
昨年末以来、米政府はGMに総額134億ドル、クライスラーに同40億ドルを運転資金として貸し出した。今回の追加分はクライスラーが今月末まで、GMが来月末までしのぐためのつなぎ融資だ。さらにその先、本格支援となるかをかけた交渉が大詰めを迎えようとしている。
クライスラーが60億ドルの本格支援を受けるための条件が、フィアットとの提携だ。
「労働組合が労務費の大幅削減を受け入れなければ、提携交渉のテーブルを離れる用意はできている」。フィアットのマルキオンネ最高経営責任者(CEO)は15日、クライスラーの労務費が日本メーカー並みに引き下げられない限り、提携交渉を打ち切る強硬姿勢を示した。
多額の負債を抱え、売れ筋の中小型車市場に投入する新車も持たないクライスラーにとって、コンパクトカーに強いフィアットとの提携は最後の望みだ。「クライスラーの単独再建は無理」と判断した米オバマ政権は、4月末までにフィアットとの提携交渉を完了するよう求めている。
提携は、フィアットが小型車の技術を無償提供、新車も供給する代わりにクライスラー株を20%程度取得するのが柱。フィアットは当初、クライスラーの米販売網獲得に強い意欲を示していたが、当てにした米政府支援のハードルが想像以上に高かったことで、慎重姿勢に転じている。
欧米メディアによると、フィアットのマルキオンネCEOは20日に渡米。クライスラーや米政府関係者との大詰めの協議をしている模様だが、フィアットが求める労務費圧縮交渉は難航している。
一方、166億ドルの抜本支援を求めているGMは、6月1日までに再建計画をまとめなければならない。クライスラーの労務費圧縮交渉をにらみつつ、大手金融機関などとの無担保債務270億ドルの圧縮交渉を急いでいる。17日会見したヘンダーソンCEOは債務・労務費の大幅圧縮を前提に、現在の8ブランドをシボレーなど採算が見込める4ブランドに削減するなどのリストラ策を説明。破産法申請を避けたい考えを強調したが、クライスラー同様に債務・労務費圧縮のめどは全く立っていない。