麻生太郎首相にとって、今回の金融サミットを利用して行う各国首脳との会談は、経済問題よりも日本上空を飛ぶとされる北朝鮮の弾道ミサイル発射問題が喫緊の重要課題になった。北朝鮮が発射を強行したら国連安全保障理事会での制裁決議や非難決議を目指して「一致結束」を呼びかける方針で、最初となった韓国の李明博大統領との会談は40分の約半分をミサイル問題に割き、上々の成果を挙げられたといえそうだ。
また、中曽根弘文外相がオランダのハーグで3月31日にクリントン米国務長官と会談し、安保理での制裁決議の可能性も視野に入れ「強いメッセージを出すことが大事」との考えで一致しており、日米韓の足並みはそろいつつあるようにみえる。
ただ、拒否権を持つ中国、ロシアは安保理での提起そのものに慎重だ。2日には胡錦濤国家主席と会談するが、2月の会談時に金融サミットでの会談を約束していたメドベージェフ大統領との会談は「日程的に難しい」(河村建夫官房長官)との理由で見送られ、オバマ米大統領とともに立ち話程度しか見込めない。
さらに、首相同行筋によると「周辺国は日本のMDにも神経をとがらせている」という。「日本の軍事行動」に「過去の戦争をだぶらせている」(首相同行筋)うえ、政府筋がMDシステムを「鉄砲の弾で鉄砲の弾を撃つようなもんだ」などと発言したことに「具体的にやり玉には挙げられなくても、日本政府への不信感を増長させている」(同)という。
1日の会談で日本の迎撃を支持した李大統領も、3月30日付の英紙「フィナンシャル・タイムズ」のインタビューでは「(自国民保護の目的を超えて)軍事的に対応することは反対だ」と牽制(けんせい)しており、米国も「(米国を標的としない限り)何らかの対応をする用意はない」(ゲーツ国防長官)と迎撃しない方針を示しており、微妙な温度差がある。
麻生首相は、外交では「経済の麻生」をウリに外交に取り組んできたが、政治問題が前面に出る今回の舞台で「麻生外交」の真価が問われそうだ。