景気落ち込みで人員削減の嵐が吹き荒れ、ようやく頭金ができて家を買おうと思っても、ローン返済に不安を感じる人が少なくないのでは? こんなとき、返済を一定期間肩代わりする失業補償保険が心強い。顧客サービスとして地方銀行を中心に導入が進み、保険料を負担する銀行も増えている。(八並朋昌)
群馬銀行(本店・前橋市)は、同行の保険料負担で全住宅ローンに失業補償を付けた。倒産や解雇、希望退職などで1カ月以上再就職できないと、1回の失業で最長半年間、ボーナス分も含む返済を肩代わり。期間が限定されない仕事をする20歳以上の人が対象で、6回の失業(延べ3年間)まで返済を補償する。金利も固定10年型で2・15%(今月現在)と有利だ。
「失業補償はローン商品の付加価値を高めるため、平成17年から導入した。反響は大きく、利用は順調に推移している」と広報室長の松山伸一さん(54)。
住宅ローンの一般的な団体信用生命保険は死亡や重度障害のみ補償なので、同行は病気やけがで働けない場合に返済を肩代わりする返済支援保険も、返済1万円当たり58円の保険料で設定。がんや脳卒中、糖尿病などで返済免除になる疾病特約は金利0・3%上乗せで用意する。地方銀行といっても群馬県のほか栃木、埼玉両県と東京都に複数、長野県上田市と横浜市、大阪市に各1カ所の支店があり、各地域で利用できる。
愛媛銀行(同・松山市)も今月から、全住宅ローンに保険料銀行負担で失業補償を付けた。
両行の失業補償などを手がけるカーディフ(東京都渋谷区)は、世界的金融グループBNPパリバの保険部門で、平成12年に日本進出。「正式には失業信用費用保険といい、昨年末時点で地銀など約20金融機関の約5万5000人が加入している。保険金支払いは多数ある」と、同損保マーケティング営業部長の宮川賢一さん(43)は話す。
京都中央信用金庫(同・京都市)はこの失業補償に返済支援保険、3大疾病特約をセット。現在、キャンペーン中なので金利0・15%上乗せで利用できる。
七十七銀行(同・仙台市)も1回につき最長1年間(延べ3年間)の失業補償を金利0・2%上乗せで用意。さらに「女性サポート住宅ローン」は返済支援保険とがんや3大疾病特約をセットにして金利上乗せを最大半分に優遇する。「働く単身女性の住宅ローン申し込みが増えたことに対応した」と個人融資課の加藤岳さん(35)は話す。
住宅ローン専門のSBIモーゲージ(東京都港区)も昨年11月に失業補償を導入した。保険料は当初融資額100万円につき年800円。「この経済情勢なので反響が大きい。35年固定でも2・44%と有利で、旧公庫融資ゆとり返済期間が過ぎた人の需要が多い借り換えローンと合わせた利用が目立つ」と、経営管理部の植松正太郎さん(24)。
半面、大手都銀は「失業補償はリスクが高い」と撤退したところも。みずほと三菱東京UFJは国内損保が引受先の返済支援保険に「勤務先倒産時補償」特約を用意するが、みずほの保険期間は当初5年のみ。ともに倒産時限定で、自営業者や会社役員は対象外。地銀などとは対照的だ。
カーディフ損保の宮川さんは「失業補償は欧州などでは一般的。国内でも失業による返済延滞が増えており、地銀などは顧客の安心確保や社会的必要性から導入している。銀行負担で導入を検討中のところがさらに複数ある」と話す。
ローンとは関係なく、個人が病気やけがで働けない場合に収入を補償するのが、日立キャピタル損保(東京都千代田区)の長期収入サポート保険。最長60歳まで月20万円の補償なら、40歳の保険料は職種により月4980~7720円だ。