米金融大手シティグループ傘下のカード会社、シティカードジャパンは28日、レストランなどでクレジットカードの支払い時にサイン(署名)なしで決済できるサービスを、29日から開始することを明らかにした。サインなしのサービスは業界で初めて。支払い時の手間が省けるほか、「接待などでスマートに決済できる」(幹部)とみて、富裕層や法人向けに売り込む。国内のカード会社は利用額の多い富裕層向けに力を入れており、同様のサービスが広がる可能性もありそうだ。
新たに始めるサービス「ダイナースクラブ サインレス・スタイル」は、シティカードが発行するクレジットカード「ダイナースクラブ」の会員が対象。事前にシティカードに電話で連絡し、本人確認や利用額の上限を設定。シティカードは利用するレストランに連絡し、レストラン側はカード利用者に予約確認することで、本人への“なりすまし”などを防ぐ。
カード利用当日は、カード提示やサインが不要になる。シティカードでは「日本では洗練されていないイメージから、同席者の前でサインすることに抵抗感のある顧客が多い」と分析しており、利便性を顧客にアピールする。
当初、利用できる店舗は高級焼肉店「叙々苑(一部店舗)」や東京・銀座の高級レストラン「ベージュ アラン・デュカス 東京」などシティカードと提携する都内の10の高級店。今後は、提携する店舗や地域を順次増やしていく考えだ。
金融危機に伴う経営不振から、シティグループは業務を中核と非中核に分割することを決めている。シティカードは中核事業に該当し、新サービス導入で顧客拡大につなげる考え。