日本自動車工業会(自工会)は24日、環境技術開発に対する中長期の融資を政府に要請する検討をしていることを明らかにした。世界的な新車販売不振を受けて、国内自動車メーカーの経営環境は急激に悪化。環境規制の強化に伴い増大する開発コストが、各社の重荷となっているため。自工会の会員企業14社の間でコンセンサスが得られ次第、年明けにも要請内容の具体的な検討に着手する。
自工会の青木哲会長は「(環境融資などの)支援を望む声が(自動車業界で)出始めている。状況をみて、必要ならば検討したい」と言明。会員企業間の足並みがそろった段階で検討に入る。研究開発設備の導入支援のほか、人材育成などでの支援要請が盛り込まれる可能性もある。
米国発の金融危機の直撃を受けるなか、メーカー各社は設備投資計画や固定費抑制に迫られている。半面、地球温暖化防止の観点から燃料を石油以外にも多様化させる課題を抱えるとともに、日米欧で厳しくなる燃費基準や排ガス規制への対応が急務。これに伴い増大する環境対応車などへの投資を融資でまかないたい考えだ。
しかし、業界内には「やることをやらないで政府に要望するのはおかしい」(福井威夫ホンダ社長)といった意見もあり、融資要請をめぐる調整が難航することも予想される。