外国為替相場で5年10カ月ぶりの円高ユーロ安になるなど、主要通貨に対する円の独歩高を受けて、国内輸出企業を中心に業績見直しを急ぐ動きが加速している。ソニーは23日、対ユーロで想定より大幅に円高となったことなどを理由に、平成21年3月期連結業績を大幅に下方修正した。急激な円高の進行が、金融危機や世界景気の悪化に悩む多くの国内企業の収益を一段と圧迫し始めた。
「この1カ月で円高、株価下落など想像を絶する変化があった」-。23日夕、東京都内で記者会見したソニーの大根田伸行最高財務責任者(CFO)は会見で、下方修正の理由をこう説明した。ソニーの連結営業利益は7月時点の予想から57・4%減の2000億円になる見通し。対ユーロ、対ドルの円高による為替差損分だけで営業利益が1300億円も減少した。
7月時点の為替想定レートは1ドル=105円、1ユーロ=165円。とりわけソニーは欧州の売上高比率が26%と、日本(16%)や米国(21%)より高い。円高ユーロ安の影響はより甚大で、1円の円高ドル安で営業利益が40億円減るが、ユーロでは1円で75億円もの為替差損が生じる。
同社は20年10月~21年3月の想定為替レートを1ドル=100円前後、1ユーロ=140円前後に変更した。
急激な円高は自動車メーカーの収益をも圧迫している。主要8社はこれまでホンダを除く7社が通期予想を据え置いていたが、来週から本格化する中間決算では大半のメーカーが業績の下方修正に追い込まれる公算が大きい。
トヨタ自動車の21年3月期の連結営業利益が前期比約4~5割減の1兆円超にとどまる見通し。現在の通期想定レートは1ドル=105円、1ユーロ=161円。年換算で1円の円高に対しドルで400億円、ユーロで60億円もの為替差損が生じるだけに、レートの見直しは必至の情勢だ。
富士重工業も23日、「この数週間の急激な円高傾向をみると、通期は当初の利益を確保できるかどうかわからない」と最近の急激な円高に懸念を示した。
一方、円高の恩恵を受ける業界もある。鉄鋼各社は鉄鉱石や石炭の輸入代金をドルで決済している。このため、円高メリットを享受している。神戸製鋼所は、21年3月期の連結営業利益予想を200億円上方修正した。中間決算を控える新日本製鉄、JFEホールディングス、住友金属工業も上方修正が見込まれる。