3年生が自由登校に入った。
ギター部 部長の塩崎さんも来なくなった。

私は塩崎さんに相談したい事があり、電話帳で調べてかけた。

「・・・それで、とにかく音楽をしてみたいんだ。」
塩崎さんが言った。

土曜日の夜、塩崎さんが白い車で迎えに来た。
助手席には友達が乗っていた。

「俺、こいつとフォークデュオやってるんだ。」
「こんばんは。」

グループ名は「ベビーカー」

かわいい。

カセットをかけてくれた。
アコースティックの音色に、サイモンとガーファンクルみたいなきれいな男性コーラス。

サテンのハッピでキャロルのカバーをする塩崎さんからは全く想像出来ない音楽だった。

すこし離れた街に3人で向かう。
もう大勢集まっていた。
貸切の部屋で飲んだり食べたりしている。

塩崎さんが、卒業して東京に行くため次で引退する挨拶をした。
そして、『音楽愛好会』に私を紹介してくれた。
「学校の後輩です。まだ1年生だけど、結構いいものもってるから。」
「初めてまして。これから宜しくお願いします。」
パチパチ拍手が起こった。

私はこの会で、コンサートに参加する事になった。
次の1回は塩崎さんと同じステージに立てる。

月曜日学校で、塩崎さんの車に乗った事がクラスに知られていた。
何だかみんな騒いだ。

「いい男はみんなヒトミにとられちゃうね。」
とみっちゃんが言った。
「ちがうから。これから音楽したいって相談したの。チャンスを貰ったんだよ。」
「ヒトミはいいなぁ。」
「塩崎さんの車のってずるい。」
みんな言葉の内容は聞いていなかった。