今日はクラスで我が物顔に暴れる連中がなんとなく、おとなしい。
その理由も、伝令のように伝わってきた。


『由香が負けた。』

由香は、クラスの不良グループのひとりだった。
しかし比較的もの静かだった。
ただあらゆる非行の噂が。

由香が負けたという伝令は、その前日夜の出来事。

部活のメンバーが囁きかけて来た。

クラスでは、不良グループが任意にクラスメイトを体育館裏に呼び出し、文句を言ってやりこめるという行為を繰り返していた。
そうやってクラスでイニシアチブを確立しようとしていた。


昨日呼び出されたのはあいちゃんだった。

部活のメンバーの話では、ぐるっと囲まれたあいちゃんは


『多対1なんて卑怯じゃない!1対1にしてよ。』


と言ったと。


由香が1歩出た。



『あんた、M中のくせになによ。』



あいちゃんは、



『あんたこそR中のくせになによ!』



と返した。

由香は・・。
言葉が途切れて、負けが確定した。




私はあいちゃんに怪我がなくて良かったと思った。




昨日あいちゃんは、うちに来た。
雨でびしょびしょになって、


「こんばんは。」


と言った。



「ひとみぃ。ストッキング脱ぐからあっちむいてて。
」とか言って。



紅茶をいれてあげた。


あいちゃんは何があったか言わなかった。
でも少し高ぶっているみたいだった。



私も不良のひとりに腕を掴まれたので、怒りを込めて払いのけてやった。



「ヒトミが逆らった!」



と言ったが、それ以上嫌がらせはなかった。


それ以来、連中はクラスの中で本当におとなしくなった。