「出会い」

雨の季節が始まっていた。
私は電車で甲府迄足をむけた。

「実力がない」

と言った楽器屋のお兄さんにカセットを渡して聞いてもらっていた。
お兄さんは、小野さんというお名前だった。


「まだこれ以上は無理かも。これが一杯一杯でしょ?」


「それではこのまま録音会申し込みます。」

録音会とは、応募者を集めて会場をもうけ、綺麗に録音+終了後添削というサービスだった。
お小遣いからお金を払って参加を申し込んだ。

録音会では、うまく歌えず泣き出す男の子。
バリバリ音を立てるロックバンド。

私の番が来て歌った。

♪日毎夜毎
遠くまで
飛べるようになる
飛び魚は少年




添削の時、小野さんが一緒に評に聞き入ってくれた。
この子どうなんだろう、という表情で少し首をうつむけて聞いてくれた。


その後、出たバンドが女子ばかりで

「選択と洗濯」

をひっかけたコミックバンドだった。

私は何故かベースの女の子にひきつけられた。
ブリティッシュなファッション。
アラレちゃんとひばり君をたして2で割ったような可愛い子だった。
その子が終わったあと私の横のパイプ椅子に腰掛けた。
うちの高校にはいないタイプだった。
垢抜けているというか・・。
何だか私に感銘をうけたという。
少しはなしてアドレス交換した。
ミカという少女だった。
そしてジュニア部門はミカのいるコミックバンドが予選の16の枠に選ばれた。
テープ審査で落ちたのはがっかりしたけど、格好いいbassistと近づきになれて豊かな気持ちだった。