「知らない処で」


体育館裏には私の部の部室もありました。
でも、この時間は誰も来ません。

先輩は全部で5人くらいいました。
女子ばっかりで、壁に軽くもたれて私を待っていました。
私は黙って先輩達の方を見ました。
5人の先輩にぐるっと囲まれ、何やら穏やかでない雰囲気。

「さっきギター部といたけど。」


ひとりの先輩が口をひらきました。


「ギター部は女子入部禁止なんだよ。」

「…。」


「ギター部入ったの?」


私はふるふるっと首を横にふりました。

「ふーん。」


先輩は私を頭のてっぺんから足先まで見てそう言いました。
忌々しそうに一瞥すると、円陣がとけました。

そのまま立ち去る先輩達。


「びっくりしたぁ。」


確認、ですか。
確認だけですね。
こういうの、免疫ないです。
足が震えて喉が渇いた。
明日のコンサート、大丈夫なのかな。

わかってます。
みんな、塩崎先輩が好きなんだよね?
確かに格好いいけどさ。
私はただ音楽活動してるだけなんだ。

あとでみっちゃんにも


「ひとみぃ、これあげる。」

って紙を渡されました。

そこには

「みっちゃんへ
塩崎和則」

と崩した字のサインで書かれていました。

「私、もういいんだ…。あげる。」


みっちゃんはしょぼんとしていました。


…塩崎さんは今日知ったばかりの人です。


なんで?


そして私って…。