「1ヵ月目」


部活はバレーボール、委員会は新聞に落ち着きました。
中学の頃から応募したかったコンテストに申し込む事にしました。
群馬のつま恋村で本戦が行われ、優勝すればプロになれる事が殆どでした。
甲府の楽器やさんに申し込みに。
中学では応募資格がないため、この日を待っていたのです。
楽器屋のフロントには20代のお兄さんがいて、申し込み用紙をすっと出しました。
書き込むと綺麗な眼差しで少し私を見ました。
いきなり、お兄さんは私に言いました。

「今のままじゃ、とれないと思うよ。」

「なぜですか?」


「実力がないもん。」

私の歌、聞いてないのに何故解るんですか?
と聞こうと思ったけどやめました。

「詞、持ってくれば添削してあげるよ。」

「はい。」

でも結局、恥ずかしいのでノートは見せませんでした。

のちに、このお兄さんに関東ブロックを2年連続で制覇されてしまう事となります。


それ以外に私は60年代フォークのコンサートなどに行き、 アコースティックギターを勉強したりしていました。

重い音使い。

個性と思想。
アコースティックギターはそのようなものを彷彿とさせました。

学校より、学校から外の世界の方がより私には成熟した世界であったと言えます。

そんなある日、宮下先生が学校の定期演奏会に出て欲しいと申し込んで来ました。
私は即断りました。

「嫌ですよ。この間学校のバンド聞いたけど、サテンのハッピにキャロルじゃないですか。」

「そうなのよね。」

「この間、コンサート見た次の日だったせいか、音もペラペラ軽いし。」


「だからあなたのをドスンと聞かせてやってよ。」

「いや、お断りします。」

それから宮下先生に見つかる度に私は逃げまわりました。
宮下先生は生物と科学の先生なので、授業後は特に隙をついてダッシュでした。
そんなある日、何故か遂に

「わかりました。やりますよ。」

と答えてしまいました。



・・・ギターが重い。