
今日は「
エル・クラシコ」の日。これは世界有数のフットボールチームがひしめくリーガ・エスパニョーラのなかでも強豪チーム、
FCバルセロナVSレアル・マドリッドの一戦を意味するまさに「
伝統の一戦」なのだ。これはフットボールだけではなく、
歴史的背景も重なる。バルセロナとマドリッドとの間にある根の深い問題は、
激しい迫害と抑圧にあったバルセロナの歴史の中からよくわかるが、「FCバルセロナVSレアル・マドリッド」の試合になると、
それがさらに明確にわかる。それはかつてのカタルーニャ弾圧の歴史の中で、カタルーニャ人たちが
唯一抵抗でき、そして
自分たちの存在や感性を示すことができた場所が、フットボールであり、特にこの「
エル・クラシコ」であったからである。この試合は
異なった民族同士の真剣勝負であり、カスティーリャとカタルーニャの
アイデンティティの戦いでもある。フットボールは、かつて押さえつけられてきた
歴史のはけ口とも言える存在であり、今現在もそうなのである。かつてFCバルセロナからレアル・マドリッドに移籍した際、
ルイス・フィーゴはコーナーキック時に、バルセロナサポーターから「
裏切り者」と称され、ペットボトルなどいろいろなものを投げつけられ、さらには
豚の頭が飛んできたほどだ。そして、今日、夕暮れ時、キックオフのホイッスルが鳴った。レアル・マドリッドのホームである、
サンティアゴ・ベルナベウは怒号の叫びを放つ。レアルは
4-4-2、バルサは
4-3-3のシステム。レアルの
ルイス・フィーゴはベンチスタート。なんといってもタレント揃いの両チーム。そして、リーガエスパニョーラの1,2位対決とあって、
お互いに負けられない試合である。両チームともに、ヨーロッパチャンピオンズリーグの敗退が決定しており、残すタイトルはこの
リーガだけとなっている。DF,MF,FWとどうみても
オールスターの戦いにしか見えない。しかし、選手たちにそんな気持ちは毛頭ない。なぜならば、これは「
エル・クラシコ」だから。前半7分に、
ロナウドのクロスから飛び込んだ
ジネディーヌ・ジダンが先制の
ダイビングヘッド。そして20分、
ベッカムのフリーキックからバレンタインデーの再婚以来不調と言われ続けている
ロナウドが鬱憤を晴らす
ヘディングを叩き込む。しかし、ここからが
本当の戦いの始まりであった。29分に
サミュエル・エトオが一瞬のスキを逃さず、
絶妙なシュートを蹴りこむと、俄然バルセロナペースに試合がすすむ。
ロナウジーニョをマークしていた
ミチェル・サルガドのマークがずれはじめ、DFラインもマークがずれはじめた。左右からクロスをいれ、
エトオに当て、落としたボールを
イニエスタ、
シャヴィがシュートを打つ。いつもの
バルセロナらしいフットボールが
約20分間続いた。そこでなぜ追加点が取れなかったのか。それは言うまでもなく、
トーマス・グラヴェセンの活躍に他ならない。彼は今年の冬の移籍マーケットでプレミアリーグの
エバートンから350万ユーロで移籍してきたMF。強面の顔には似合わず、足元は非常に巧みである。彼は、
攻撃の芽をことごとくつぶし、つぶした瞬間に
ベッカムや
ロベルト・カルロスという左右の選手にロングボールを供給し続けた。そして前半ロスタイム、
ロベルト・カルロスの
信じられないドリブル突破から、クロスがあがり、
ラウルが詰めて3-1。そこで前半終了。前半で3-1というスコアを誰が予想したか。解説者まで「
信じられない」と連呼していたほどだ。そして後半。相変わらずお互い、
カウンターで攻める。攻撃の芽を摘み取る仕事はレアルは
グラヴェセン、バルセロナは
シャヴィ。この対決が非常に面白かった。ただ、がむしゃらに、汚い手でボールを奪うのではなく、とても
クリーンなのだ。奪っては攻めるという、攻撃サッカーの典型だ。そして65分、
ベッカムからの絶妙スルーボールを
マイケル・オーウェンが決めて万事休す。スコアは4-1に。73分に交代で入った
マキシ・ロペスが倒されて得たFKを
ロナウジーニョが
鮮やかに決めて1点返すのが精一杯。結局
4-2でレアル・マドリッドが勝利を収めた。スコアだけをみれば圧勝かに思われる。しかし、試合を見る限り、バルセロナに落ち度があったかと言われると、答えは「
NO」だ。お互いチャンスメイクはしっかりできていたし、ボールポゼッションもほぼ
互角。では差は何かと問われれば、やはり「
決定力の差、そしてカウンターのうまさ」であると思う。カウンターのときに
レアルは
裏に出ようと必死であったのに対し、
バルセロナは
エトオ、
ロナウジーニョに当てて、
組み立てようとした。カウンターというのはそもそも「
最短距離でゴールを奪う」「
スピードが命」という
基本理念がある。それをうまくやってのけたレアルが今日は勝利した。そしてボールを奪ってからの早さ。これもかなり効いていた。
今日のMVPは個人的にはボランチに入った
トーマス・グラヴェセンである。そして、この「エル・クラシコ」という場で、
クリーンなサッカーを続けた両雄にも
敢闘賞をあげたい。