一緒に映画を観終わったあと、男は聞く。
「どう?面白かった?」
食事に連れてってくれたあと、男は聞く。
「どう?おいしかった?」
そして、Hが終わったあと、男は聞く。
「どう?気持ちよかった?」
…なんてわずらわしいんでしょう。
「面白かったよ」
「おいしかったよ」
「気持ちよかったよ」
女としては、そう答えるしかないというのに、
この予定調和的な、七面倒くさい会話。
これが、
何をしてあげても、反応が乏しい女に聞くのならまだ分かる。
不安になって「どうだった?」と。
しかし私は、
「めっちゃドキドキした~!最後だまされたあ」
「おいしい~すごいやわらかいね」
「ほんとに嬉しい~こんなとこ初めて来た!」
と、随時、
過剰なほどにコメントをしてしまうきらいがあり、
付き合った人にはしばしば
「リアクション王」と絶賛(揶揄?)されるレベル。
私がその場を楽しんでいるのは、分かりきっていることなのです。
それなのに、ダメ押しのように
男が最後にもう一度聞くのはなぜなのでしょう。
「どうだった?よかった?」と。
それに対し、
「うんっ(ハートマーク)」
と殊勝に答えつつも
さっき言ったじゃん…
と徒労感に打ちひしがれる女のコは、
私だけではないはずです。
男がいちいち女に確認するのは、それだけ不安だということ。
そして、その傾向がとりわけ強いのが、
Hの後でしょう。
あ~早かったかな、下手くそって思われたらどうしよう、前の男はオレより大きかったのかな、彼女は満足したかな、まさか演技じゃないよな
こういうありとあらゆる不安が、
終わった後の
「気持ちよかった?」という一言に
集約されている。
それが分かるゆえ
「うん、すっごい気持ちよかったよ」と
満面の笑みで微笑む私なのです。
が。
私の中で、徐々に、確実にフラストレーションはたまる。
なぜなんでしょう。
男たちに言いたいのは、
「とりあえずちょっと待て。」
ということ。
あえて聞かずとも
女は必ず「気持ちよかった」という
サインを出しているはずです。
それなりのマナーは心得ています。
例えそれはダイレクトな言葉じゃないにしろ、
「足がふるえて立てな~い」
だったり
ぐったりしつつ「○○君すごい…」と
言葉少なに語ったり。
なのにそれに気づかず、あるいはそれを待たず、
「どう?どうだった?」と
感想を強要する男のうっとおしさ。
例えば
物を貸してもらって
「ありがとう」と言う前に
「ありがとうの言葉は?」と催促される気分というか。
純粋な感謝の気持ちが、いっぺんに冷めてしまうのです。
ちなみに
前付き合った彼氏とは、非常に体の相性が悪く、
「もっと動いて」
「そこじゃないって」
「こっちもやって」
「これじゃ無理だって」
と、
なぜか私が、ひたすらダメ出しをされていました。
当然ながら、毎回半ギレの私。
そしてあるとき彼は、あろうことか
「てれさ、気持ちよかった?」と
終了後に聞いてきたのです。
なんつーおこがましさ。
このときばかりは私も、
「…う~ん、
どちらかといえば気持ちよくないかな」
と強烈な反撃。
間の悪いことに
2人で旅行している最中のできごとだったので
それはそれは後味の悪い思い出になりました。
Hの際、男としてあらまほしき態度は
まず自分が言うことです。
「よかった?」と女に聞く前に
「まじで気持ちよかった~」と
自分が言えばいいのです。
リアクション上手が好まれるのは
男も女も一緒なのですね。
ああ。
そして、避けては通れない話題がもう一つ。
男が異常に気にすることとして
オレのモノは大きいのか?
というのがあります。
私の悪いクセなのですが
男のモノを見たときに私は必ず
「おっきい~」
とつぶやいてしまうんですね。
(あああ~リアルですね、すみません)
ほとんど条件反射的に言ってしまうその言葉、
別に他意はありません。
前の男と比べて、とか
そういうことは全く考えてない。
例えば
コンビニでビッグフランクフルトを見ても、
テレビで朝青龍を見ても、
旅行で富士山を見ても、
「わ~おっきい~」
と言ってしまう。
そういう感覚なんです。
なのに、その言葉に
男たちは過剰反応する。
「え、オレのって大きい?」
「え、大きくないよね?ないでしょ?」
と、Hの作業を中断してまで
執拗に回答を求める男たち。
えっとね、だからさ、
朝青龍とか富士山を見てもね、
…という説明などできるはずもなく
「ああ、またやってしまった…」
と静かに反省する私です。
だいたい、大きい小さいといっても、
よっぽど飛びぬけていない限り
差なんてほとんど分からないんですよ。
なのに
「標準ってどのくらいなの?」
「前の男には勝った?」
「オレって何番目くらい?」
と
彼らの中では
センチメートル、
ミリメートル単位の記録を争う
どーでもいい競技が行なわれている。
大きい、小さいという以前に
そういうことにとらわれる男の姿がみっともない。
大きかろうが
小さかろうが
短かろうが
曲がっていようが
一生懸命動いてくれて
終わった後「あ~気持ちよかった」と
優しくぎゅってしてくれる。
そういう男にこそ
金メダルを贈りたい
と私は思います。
P.S
いよいよ今週末は校了!
編集部のみんなは徹夜の日々です。
ちなみに、
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