※このお話しはフィクションです
私のことを知っている人は多いと思う。私の仕事は消臭と除菌である。
今回の派遣先としてこの家にやってきたわけだが、何を隠そう私はこの家が嫌いだ。
うまい比喩が思いつかないが、ここはこの世の地獄なのであろう。とにかく汚い。
前にこの家の主は「おれマジで3カ月くらい掃除してないからwww」と自信ありげな発言をしていた。
そう、完全に今回は外れくじを引いたのである。
そして‘奴’はいつも何食わぬ顔で私の中身をTシャツに振りかける。
「おい、それ1週間くらい洗ってないだろ。そんなんでバイト行くのかよ。洗濯もできないのかよ。」と内心思っているのだが、こういうところから‘奴’の人間性がうかがえるのだ。つまりHAIJIN。
ここまで汚いのにもかかわらず一向に掃除をする気配がない。‘奴’は一体何を考えているのだろうか。
きっと何も考えていないに違いない。
人間の心の汚れというものは私の力ではどうすることもできない。
ただ我々はひたすらに消臭スプレーとして使われ続けるのである。
それでもこの仕事に誇りを持っている。
無論、私はこんなところで討ち死にするつもりは毛頭ない。
噂によれば、同じ大学生でもオアシスのような家があるのだそうだ。
きっとかわいい女の子がいるのだろう。私も男である。目指すは女子大生の家。
私は負けない。
