先日、濡れた傘を広げておいたら
すっかり気に入ったみたいです♪
つづきです。
その頃義理兄は警察官になっており、寮なのかアパートなのかは知らなかったけど
実家を出て暮らしていた。
思えば、こんな男が警察官だなんて。
もっとも今時、警察官だろうが先生だろうが会社員だろうが、職業は関係ないですけどね。
休みが不定期なのか、平日にも実家へ帰ってくることがたびたびあった。
その日も平日、学校から帰った私が二階の自室にいたとき、
義理兄の車が家の前に停まる音が聞こえ、降りてくる様子がうかがえた。
逃げるんだ。
とっさにベッドの下の上履きを掴んで、音を立てずにサッシを開けて閉め、上履きを履いた。
手すりをまたいで、着地するグレーのブロック塀の上を見下ろした。
高さを感じ、足がすくんだ。
けど降りなくちゃ。
事前に何度も見下ろしてみて、家の外からも高さを確認して、逃げるシミュレーションをしていたが、
実際に飛び降りてみたことはなかった。
いざとなればやれる、そんな気持ちでいたのだ。
普段からすぐ上の兄と電柱に登ったり(昔は足をかける杭がついていたので)、
木に登って遊んだりしていて、高さにさして恐怖感は無かったつもりだった。
それが、その時は「逃げる」という非日常のミッションが加わったせいなのか、
想定外の恐怖感に襲われてしまった。
手すりに掴まっている手のひらにも、汗のようなものを感じた。
早くしないと。
義理兄が二階へ上がってきてしまう、私を探しに。
「降りなきゃ」と「怖い」の思考がせめぎ合って、
ほとんど衝動のようにブロック塀の上に飛び降りた。
そこから慎重に地面へ着地する予定が、バランスを崩して
ほぼ一気に地面まで飛び降りたような形になった。
右足に、衝撃が走った。
つづきます。

