6月19日 15:37 本部
正司は部屋で一人、コーヒーを飲んでいた。実際彼はコーヒーと言う苦いものは苦手であるが、インベーダーの侵略で各地のEDF司令官と毎晩徹夜で対策を練っているのだ。彼はインベーダーと戦っていると同時に自身の眠気とも戦っているのだ。
「まったく総司令部奴…あいつ等また経費やら経済がどうこう文句言いやがって…」
正司は毎晩不眠だったので内心の苛立ちを一人しかいない部屋で漏らしている。
静まり返っている部屋にノックの音が聞こえた。
「司令官。私です。」
「初香か。どうした?」
初香は部屋に入った。
「何があった?」
「情報部からの伝達よ。インベーダーの部隊が山岳部で発見されたわ。」
「何だと!?」
正司は初香からの情報を聞いて驚いた。
初香はノートパソコンを開いてコンピューターを起動させた。画面には空母と多数の円盤が映し出されていた。
「・・・・・」
空母が映し出された画面を見て正司は画面を見て顔を引きつらせた。
「これは…絶好のチャンスだろう。」
~時也視点~
「…っと、言う訳でお前達に任せたい。」
俺たちは正司に呼び出されて作戦内容を伝えられた。
コイツからの説明によると、空母三隻と複数の円盤が山岳部で停泊してるらしい。しかも、奴等はずっとそこから動く様子が無かった。
「思えば、奴等が態々山岳部で身を潜めるって何か可笑しくないか?」
晴斗は奴等が行った行動に疑問を口に漏らしていた。
「…て事は、今攻撃すれば戦況が私たちの方に傾くって訳でしょ?」
瑠璃華は何かの期待を抱いたのか、少々興奮気味だ。
「そういう事だ。奴等が動き出す前にそこで破壊しろ。全部逃がすなよ?」
俺たちは武器庫に向かい、装備を整えた。
17:13 山岳部
俺たちは輸送ヘリが待っている広場まで行こうとした時に開発部に捕まってしまった。
捕まってしまったのは俺と晴斗と真二と結城の四人だった。開発部はまだジェノサイド砲の研究に没頭している筈だが、一体何処に兵器開発の時間が在るのか大きく疑問に思った。
「先ず兄さんたちに何を手渡されたのか教えてくれる?」
瑠璃華の質問に俺達は手渡された武器を彼女に見せる。
俺は開発部からガバナーSを貰った。他の三人は何を貰ったのか気になる。
「俺はスプラッシュグレネードGR。良い武器貰ったぜ。」
真二は不敵な笑みを浮かべて貰った武器に期待感を抱いていた。続いて今度は晴斗が武器を見せた。
「俺はSNR-229Rって言うスナイパーライフル。SNR-229の改良型で連射式の武器だ。」
連射性能の狙撃武器は以前にもSNR-227Rって言う連射性の武器を聞いた事がある。だが、肝心の威力が低い為、失敗作扱いされている。
(多分晴斗はハズレを引いたかも知れないな。)
「所で…兄さんは何を貰ったの?」
最後、結城は博士から貰った武器を全員に見せた。
「…何それ?」
そこに居た全員が結城が渡された武器を黙視していた。俺だけじゃない。皆その武器を見た事がない。
「これ…何て言う武器ですか?」
最初に言って来たのは霧香だった。
「アシッドガンって武器らしい。」
本人はそのまま武器の名前を言ってくれた。アシッドガンの中身には液体らしき物体が揺れているのが普通に解る。
「…あれ?アシッドって何か聞いた事あるわ。」
瑠璃華は何かに気付いたのか、アシッドの意味を考え込む。
(アシッド…アシッド…)
「酸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
彼女のいきなりの叫び声に俺達は驚いてしまった。
「ビックリしたぁ!」
「何が起きたんだよ!」
俺と晴斗は瑠璃華に質問した。
「あれを見てよ!」
瑠璃華が指を差した方向に俺達は目を向けた。
――あれの何処が電気だ?
「そいつは酸よ。触れた物を一瞬で溶かす危険な液体よ!」
(あっ、そういう事か。)
武器の中に入っているのは酸と言う液体だった。とんだ勘違いだよ。全く…。
さて、茶番はさっさとお開きにして停泊中の空母に奇襲を仕掛けるか。さっさと仕留めないと奴等巨大生物を置いて飛び去ってしまう。
「良し、空母は三隻。派手に爆撃するのもジワジワ甚振って落とすのも、中に潜入してやりたい放題するのもお前等の勝手だ。」
「三つ目はお前限定の仕事。もしくは乗り込みたいだけだろ!」
晴斗のツッコミに「あっ、バレた?」と返答してた。
「はいはーい!私空母の中に入って遊びたいでーす!」
何と、三つ目の行動をすると笑顔を浮かべながら主張して来た。
「良し。じゃあ思う存分遊んで来い。因みに、俺は一回乗り込んだことがあるからやらないけどな。」
「俺はSNR-229Rの威力がどの程度なのか試してみようと思う。」
「じゃあ俺は一隻の空母を派手に落とすとするか。」
それぞれの役割は決まったらしい。
「じゃあ私達は皆の援護をしようね?」
「そうですね。皆の安全を維持しましょう。」
霧香と神楽は俺達の援護に回るらしい。
「あら~霧香ちゃんも麻奈さんも消極的ですよ?私見たいに派手に行きましょうよ♪」
「あのね…私達は瑠璃華じゃないんだから。」
「そうです!私達は瑠璃華さんの様に動きたくても動けないのが現状なんですよ!?」
二人は苦笑いを浮かべながら本当の事を言った。霧香の答えに対しては男達も「うん。」って頷いた。
「あら…何か私だけ仲間外れな感じが…」
『あんた達!何時まで無駄口叩いてるの!?』
無線からオペレーターこと初香さんが無駄話をする俺達に喝を入れて来た。
『空母をどう落とすのかは貴方達の勝手だけど早く落とさないと動き出しちゃうわよ!』
俺達は武器を持って空母に近寄った。
~真二視点~
俺は開発部から貰ったスプラッシュグレネードGRを空母に向けて引き金を引いた。砲口からは無数の爆弾が煙を吹いて辺りに跳ねている。
「あれ…可笑しいなぁ。」
爆弾は確かに発射された。だがその肝心の爆弾は煙を噴きながら巨大生物の群れの頭上を飛び跳ねるだけ。
俺は仕方なく爆弾の装填を行う。その作業を行っている最中、いきなりその出来事は訪れた。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォン
「うおっ…!!!」
俺はいきなり来た爆音に驚いた。俺が振り向いた光景は爆発で煙が大量に巻き起こっていた。そっちの方は先ほど俺が爆弾放った方向だ。どうやら発射されてから爆発が起こるのは何秒かの時間が掛かるらしい。恐らく、中には飛び跳ねたまま爆発した爆弾もある様だ。
煙が晴れて、そこには巨大生物の死体と巻き添えを喰らった護衛の円盤の残骸が横たわっていた。
空母も黒煙を上げてもう一回攻撃を加えれば落とせる。俺はもう一度爆弾を放って次弾の装填をしながら飛び跳ねて爆発する光景を眺める事にした。
「真二の支援は必要なさそうだね…」
「そうですね。」
~時也視点~
俺はさっそくAS-21の引き金を引いた。これは一番近くに居る巨大生物を倒して他の群れを誘き出す為だ。
「来いよ。お前達でガバナーS効果を試して貰うぜ?」
俺は迫り来る巨大生物にガバナーSを向けて引き金を引いた。銃口から放たれた弾薬は期待通り巨大生物を撃ち抜いた。一瞬だが、倒した巨大生物からは至る所から体液が放出され俺は解った。
このショットガンは精度が悪い。
俺は背中に背負ってあるゴリアス-1の改良型、ゴリアス-Sカスタムを構えて巨大生物の群れに狙いを定めて引き金を引いた。
ドォォォン
《ギャシャァァァァァァァァァァ》
着弾した位置からは大きな爆発が起こった。攻撃された巨大生物は吹き飛ばされた。そして当たり所が良く俺が思った通りの巨大生物の数が吹き飛んでくれた。
「もうちょっと火薬の量があればもっと吹き飛ばされるのにな…おっと!」
俺は護衛の円盤から攻撃を受けてそのレーザーを偶然回避できた。
「そう言えば攻撃されてたっけな…」
俺はガバナーSを一機の円盤に向けてがむしゃらに引き金を引いた。銃口からは無数の弾薬が散らばって決められていない行く先を通る。これは完全に精度が最悪だと実感した。
だが、この武器は精度の悪さとは裏腹に弾の威力が大きい方であり、さらに弾薬は広範囲に散らばった後に複数の円盤を撃墜してくれた。俺が望んだ期待とは違っていたが思い通りに敵を倒してくれた。
「こいつは対空用としては役に立つぞ!」
俺はこいつの性能を理解して円盤を次々と撃墜した。
「おわっ…」
時也は巨大生物による酸の攻撃を受けそうになった。彼は後転して酸を避けた。
「そうだ。こいつ等も居たんだっけ?悪かった!」
俺はゴリアス-Sカスタムで巨大生物の群れを吹き飛ばした。
~瑠璃華視点~
「…こんな大軍相手じゃ空母に潜り込むのできないわね。」
私は今の現状にガッカリしていた。巨大生物が次々と投下されて、良く見ると円盤も護衛態勢を強化したのか、時也たちが居る方向に守り態勢を執っていた。
「ありゃ、時也は派手に落としたわね。」
瑠璃華は目をパッチリしながら時也によって撃墜された空母を眺めていた。
「霧香ちゃん、麻奈さん、私これから空母に乗り込みますから援護してくれますか?」
私は無線で二人に援護要請を出した。
『ちょっと瑠璃華!いきなり何言い出すのよ!』
無線からは麻奈さんの厳しい発言が私の耳に響き、
『私、やっぱり瑠璃華さんの空母乗り込みは反対です!』
霧香ちゃんは私の事を心配してなのか、急に反対表明を出して来た。
「霧香ちゃん。もしかして、心配してくれてるの?」
『当然じゃないですか!空母の中はもしかしたら危険が沢山あるんじゃないかって…』
「大丈夫よ。私は奴等と遊んで来るだけだから。」
『…それでも私は、』
「大丈夫だって!」
(霧香ちゃんから見れば危ないかも知れないけど、私は一度だけでも良いから空母の中で遊んでみたいんだよねぇ~♪)
私は麻奈さんに改めて援護要請を伝えた。勿論この人からは皮肉な発言が飛んで来たけどさらっと受け流した。
「さて、たっぷり遊んじゃおう♪」
瑠璃華は猛スピード巨大生物の群れに目掛けて走り出した。巨大生物は彼女の存在に気付き標的にする。攻撃態勢に入ろうとしたが、群れの大半はゴリアス-Sカスタムによって大半が吹き飛ばされた。
(時也も援護してるのかしら?だったら好都合よ!)
瑠璃華は動かしている脚を止める事無く群れの中心の突破を試みた。目の前の障害に見える巨大生物に対してはスパローショットで迅速に対処、殲滅。さらに近い敵に対しても殲滅を行った。
「さて、私達は瑠璃華の援護よ。」
「瑠璃華さん、無事で居てください。」
霧香と麻奈は開発部から貰い受けたSNR-227のスコープで、狙いを巨大生物に定めて狙撃した。
その頃瑠璃華は空母の真下まで辿り着き、フックショットの引き金を引いた。
音が響き射出口からはフックが放たれ装甲に付着した。ワイヤーがフックと本体を繋いでくれている。
そして彼女は別の引き金を引いて空母へと上って行った。
「へぇ…空母ってこんな感じだったんだ。」
瑠璃華は空母の中に潜入した。どうやらここは巨大生物が格納されている格納庫らしい。
「じゃ、巨大生物は死んで♪」
瑠璃華は不敵な笑みを零しながらGランチャーUM-3Aで格納庫へ発泡した。
発射された爆弾は巨大生物と接触した後に爆発。巨大生物は断末魔を上げながら吹き飛び、そのザマを見て彼女は快楽の微笑みを浮かべた。
「私の楽しみ…邪魔しないでくれる?」
ハンドガンを腰から抜き取り自身の真後ろへと発泡した。彼女を背後から襲おうしたインベーダー乗組員は射殺されて仰向けに倒れた。
その後も彼女はGランチャーUM-3Aで密集された巨大生物を爆撃して楽しんでいた。
「さて、そろそろコックピットでも行っちゃおうかしら♪」
徐々に不気味になる不敵な笑顔を浮かべながらコックピットらしきエリアまで生命体を殺しながら歩いて行く。
《格納庫の巨大生物が襲撃されてやられました!》
《敵が侵入しただと!?他の連中はなにやってる!》
《さっきから何処も応答がありません!》
コックピット内はインベーダー(恐らく人型)が各エリアから応答やらの状況確認を取っていた。
だが、そうこうしている内に侵入者と呼べる者はコックピットに接近していた。瑠璃華はコックピットを守っていた人型をGランチャーUM-3Aで攻撃。何人かが吹き飛び、残った二人はハンドガンからの発泡によって射殺された。
そして彼女は破壊されたコックピットへの扉から覗き込み、
「ふふふ、私と遊びましょうか?」
人型から見れば不気味とも言われる目付きで眺めた後、コックピットに強襲を掛けた。
《ぎゃああああああああああああああ》
「うおっ…瑠璃華の奴派手に遊んでやがるな。」
既に二機の空母は落とされ、俺は無線で人型の悲鳴と断末魔を拝聴してコックピット内の状況を想像していた。
「真二か。空母の落とし具合はどうだった?」
「派手な爆発でかっこよかったぜ。中にいた巨大生物やインベーダーはざまぁ見ろって感じだ。」
「結城、お前は?」
「お前達が凄すぎて俺は残った巨大生物と円盤をアシッドガンで掃討するだけだったよ!」
どうやら今回の結城の活躍は全く無かったらしい。俺はアシッドガンについて和也から聞くとさんを喰らった巨大生物の甲殻は溶けて苦しみながら絶命したらしい。
「…晴斗。浮かない顔してどうした?」
一人だけ浮かない顔をしていた晴斗に時也は声を掛けた。
「このスナイパーライフル…全く役に立たなかった。」
俺は晴斗からSNR-229Rを使用についての感想を聞いた。
彼からの感想によるとその狙撃ライフルは連射性能が備わっている武器ではある。威力低下は承知の上で使ったが、どうも狙いを定めた空母まで射程距離が届かず、落とせずじまいに終わった。
「こんな奴はこうしてやる!」
すると晴斗は何処からかさっきまで持ってなかった筈のスコップを取り出して全く使い物にならなかったSNR-229Rを地面の中に埋めた。
思えば晴斗と結城は今回不憫だったな…
こうして時間が経つと霧香と麻奈が戻って来て、最後に笑顔を浮かべながらこちらへ戻って来た瑠璃華と合流した。
「瑠璃華、空母の中はどうだった?」
「とっても面白かったよ♪」
どうやら彼女は遊べて上機嫌の様だ。
「特にコックピット内での遊びが面白かったかしら。恐怖に溺れたアイツ等が逃げ惑う光景がとっても…」
笑みを零しながら遊びの感想を聞いている間に迎のヘリが到着した様だ。俺たちはレッドカルマ隊のヘリに乗り、感想の続きを聞く事にした。
全くもってグロい感想だったよ。
18:49 本部
正司は司令室の椅子に座りながら外を眺めていた。彼の側には初香の姿もあった。
「初香…お前も聞いただろ?」
「…うん。」
殺伐とした部屋で正司は何かを告げた。
「玲央が…死んだ。」
to be countinued
次回 双竜 都合により戦いはありません