施工について
建築現場というと現場監督がいて、職人がいて、建物を作ってるというのは誰でも知ってると思う。
ゼネコンという言葉も皆知ってると思う。
しかし、実際のゼネコンの仕事は知ってるだろうか?
ゼネコン(総合建設業)とは?
一般的に※※建設、※※工務店、※※組という名前が多いかな。
施主から仕事を請負い建物を作る会社の事。
総合建設業と言っても、普通は自社の人間で建物を全てを作るという事では無く、数多くの下請業者を使い建物を作っていく。
ゼネコンの社員というのは通常は現場監督だけで、実際の作業はそれぞれの職種毎に専門業者がいて、そこの職人が作業をしている。
鉄筋は鉄筋専門の業者(例えば※※鉄筋という会社)、内装は内装専門の業者に発注するって感じ。
そうやって寄せ集めた業者の職人達に実際の作業をやってもらいながら建物を作っていく。
現場監督の仕事というのは、まず工事の工程表を作り、予算組み、下請業者を決定し発注。
(予算組みと業者の決定は購買担当部署で行う場合が多い)
実際に工事が始まると、設計図を基にもっと詳しく施工図を書く、あるいは外注で書いてもらう。
某キムラ建設では、この段階で耐震スリットの数を減らしてたらしいが、耐震スリット1箇所の施工費はせいぜい数千円、例え20ヵ所減らしても十数万円、ヘタすると数万円しか減にならない筈。
確かにチリも積もればとは言うが、自分ならこんな事はしないな~
それに、普通であれば施工図を書いたら設計事務所に提出し承認を受けてから施工に入るので、数が減れば当然チェックが入り修正することになるのだが・・・
ここで、マンションデベロッパーからの建設工事の発注の流れを書いてみる。
通常はA図のように「設計・監理」を設計事務所に発注し、「施工」はゼネコンに発注すると、設計事務所はゼネコンと利害関係無しに「監理」する事になる。
力関係で言うと、デベロッパー(施主)>設計事務所>ゼネコンとなる。
施主としては「設計・監理費」と「施工費」を別々に支払う事になる。
しかしB図のように「設計・施工」をゼネコンに発注した場合、施主は「施工費」のみ(厳密には設計費も含んで)を支払えば良いので、多少出費が抑えられる。
そして、自社で設計を出来ないゼネコンは、設計事務所に下請けとして「設計」のみを発注する。
そうなると「監理者」が居ないという事になり、ゼネコンはやりたい放題が出来るという事になる。
また、「設計」を発注する際の力関係が、ゼネコン>設計事務所となるので、アネハ君のように言う事を聞かざるを得ない状況になりかねない。
この例えはちょっと極端な例です。
まともなゼネコンなら強度計算の偽装を指示したり、手抜き工事をするようなことはありません。
あまり心配しすぎて、A図のように設計事務所に設計と監理を任せるのが、必ずしも最良の方法とは言えない。
設計事務所の担当によっては、ほとんど建築設計の経験がないまま図面を書き、現場を監理している人もいる。
(実際、建築士の資格も取得出来ないまま設計業務に携わる人は多いです)
また設計一筋で現場をあまり見ずに来た人は、現実にそぐわないとんでもない事を現場に要求したり、トンチンカンな事を言って裏で失笑を買う事もw
しかし、このようなヘッポコな人達であっても、設計事務所の看板を背負って現場にやってくれば、現場では「センセイ」と呼び、無碍な扱う事は無い。
当然、このようなヘッポコ設計士(建築士にあらず)に依頼した場合は施主の不幸です。
またデザインのみに凝りまくったあまり、使い勝手か悪かったり、耐久性に問題があったり、雨が漏りやすい構造だったり・・・という事もある。
なかなか難しいですね・・・
設計事務所のお仕事
以前設計事務所で意匠設計をしていた事もあるので、設計事務所の仕事についてもちょっと書いてみる。
施主(建て主)から委託を受けて建物の設計と各官庁への申請を行うのが建築設計事務所。
大きく分けて意匠・構造・設備設計に分かれている。
通常、意匠設計者がまとめ役となり、各種法令(話題の建築基準法や各種条例等もの凄くいっぱいある)に則り間取りや階数、外観デザイン等を決定していく。
この時構造設計者と相談しながら基本的な構造、スパン(梁間)、階高等を決める。
主な構造には木造(W)、鉄骨造(S)、鉄筋コンクリート造(RC)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)がある。
鉄筋コンクリート造を例にとると、ある程度意匠設計が進んだらきちんと構造計算を行い、柱・梁の大きさ、壁や床の厚さが決まり、コンクリート強度、鉄筋の材質、太さ、本数が決定する。
構造計算については連日マスコミの報道があるので多少知っているかもしれないが・・・
大雑把に言うと、計算の基になるのは静的荷重(自重・生活荷重)と動的荷重(地震力)で、普通に家具を置いて生活している状態で地震が来ても壊れないようになっている。
「壊れない」と言っても「辛うじて建物全体が倒壊しない」から「生活に支障が出るほど壊れない」まであるが、現在の基準ではそのまま住み続ける事が出来るレベルを指すようだ。
ちなみに構造計算の指針というのは年々厳しくなっている。
数年前、構造設計してる友達が20年以上前の計算書を見て、その貧弱さに驚いたと言っていた。
また、古い建物の解体現場を見学したときに、鉄筋は丸鋼、径も細く、本数も現在の水準から見れば恐ろしいほど少なかった・・・
(現在は異型鉄筋という凹凸のある鉄筋が使われ、丸鋼は使用されない)
巷で話題の耐震偽装マンションも確かに危険だと思う、しかし20~30年も前の鉄筋コンクリート造の建物に危険は無いのだろうか?なんだか心配になった・・・
ちょっと脱線してしまった。
意匠と構造設計がある程度進んだら、設備設計を始める。
これには電気、給排水、空調、ガス等が含まれる。
最近の設計では後々の設備機器のメンテ、機器の交換まで考慮した設計が増えてきたが、以前は
「設備?余ったスペースで何とかするだろう」
みたいな感じだったり、後々の事など全く考えていないような設計もあった。
設備配管を交換する事になったら・・・と考えると恐ろしくなる。
とは言っても、かなり前から給水管は塩ビ管やポリブデン管という樹脂パイプが主流なので、昔の鉄管のように腐食するような事は無いだろう。
しかし、樹脂パイプ同士の接合に接着材が用いられるので、経年変化による漏水の可能性はゼロでは無い。
で、設計が終了したら(普通は完全に終わらないうちに)建築確認申請をする。
この建築確認の審査をするのは以前は各市町村の建築指導課が行っていたが、今は民間の審査機関があり、そこでも審査をしてくれる(話題のイーホームズもそのひとつ)
民間の審査機関は良く知らないが、市町村の建築指導課の担当者にはあまり関連の無い部署から移動して来た、素人に毛が生えた程度の人材もいたらしい。
そもそも、審査をする人に建築士の資格を持ってるの?と聞いてみたい(実際面と向かって聞けないけどさ)
確認申請が通ったら、施工会社を選び見積りを依頼する。
民間でも普通は2~3社で競争入札となるのだが、ここでゴニョゴニョが行われる場合もある。
そして見積りが出てくると、ほぼ例外無く予算をオーバーしているw
設計する側としては一度出た金額より高くなる事は避けたいので、多少金額を下げられる要素を設計に盛り込んでおく場合がある。
例えば、外装のタイルにランクの高い物を選んだり、内装材も2ランク位上げておくとか。
そこから予算に合うよう仕様を落として、施工会社とネゴったり、あるいは予算を増やしてもらうよう施主にかけあう。
(全てこのような設計を行う訳ではないので、自分が依頼している設計事務所に文句は言わないように・・・)
出た見積りにより普通は一番安い施工会社に発注するのだが、中には風変わりな施主もいて
「一番安い所は手抜きするかもしれんから二番目に安い所にする」
って人もいた。
金額が決まり、施工会社が決まったら、必要に応じて設計図の手直しをして「設計業務」は終了となる。
その後は「監理業務」となり、実際の工事が設計図通りに施工されているかをチェック、諸官庁への届出や申請、施主への報告、現場との質疑応答、設計変更等の打合せを行っていく。
通常この作業も意匠設計者がメインで行うが、構造的な確認(配筋検査、コンクリート強度の確認等)は構造担当者が行う。
昼はこういった現場の監理業務を行いながら、夕方から次の物件の設計をしたりするので、忙しい設計事務所に勤務すると1ヵ月の残業時間が200時間、休日は全て出勤なんて事になるんだよね~
カロウシスンゼンダタヨ・・・
建築工事の仕事って?
マンション耐震強度偽装問題、某ホテルチェーンの違法建築問題、手抜き工事についてのTV番組等・・・
建築関係の仕事をしてるせいか、色んな所で色んな人から質問されるようになった。
友人・知人は言うに及ばず、法事で会った親戚縁者、果てはチビッコにまで質問される。
どこで聞きつけたのか
「一級建築士持ってるんだって?取るの難しいんでしょ?凄いねー!」
ところで・・・
「去年買ったマンションは安全か?」
「3年前に建て替えた自分の家は安全か?」
「隣の古い家が倒れてこないか?」
「外壁のコンクリートにヒビが入ってるけど大丈夫?」
「一度見て欲しいんだけど・・・」
「イホーケンチクってなーに?」
「タイシンギソーってなーに?」
チビッコからの質問にはちゃんと答えますよw
しかしですね、皆さんイッキュウケンチクシというのは話を聞いたり、パッと見ただけで
「それは違法建築ぢゃ!」
とか
「この建物は構造的に問題がある!」
なんて事がわかる人種だと思ってるんでしょうか?(;´Д`)
アネハ君は専門家が見ればすぐわかるはず・・・みたいな事を言ってたようですが、全ての建築士が構造計算書を見て良し悪しを判断できるとお思いでしょうか?
他の人は知らないけど、私と私の廻りにいる奴らには無理です。
だって学生の時に構造計算の科目は30秒で諦めたような奴ですよ・・・orz
建築の構造計算ってのは専門でやってないと出来ない仕事です。
実際、構造設計をする人は数が限られているので、アネハ君のように1人(あるいは1つの構造設計事務所)で数多くの物件を手掛ける事になります。
構造設計料が安いから数をこなさないと・・・という話も聞いたことがあります。
そして、構造計算やるような人はバリバリの理系人が多く変人率が高い気難しい人が多いですw
まぁ、自分が他の職業に関して知らなかったり誤解しているのと同様に、他の人も建築の仕事について知らない事が多いんじゃないでしょうか。
そんなこんな(どんな?)で少しずつ建築のお仕事の事を書いていってみようと思います。
基本は建築現場の話なんですけど、建築全般の事も少し書こうと思います。
中には古い情報、誤った情報、一部地域のみで通じる情報があるかもしれません。
ツッコミ大歓迎です。
