誰が決めたか日本三鳴鳥、特に文句は無いけれど個人的には納得していない。

 

では私が選ぶとすればどうなるだろうか?

候補は色々あり、其々に個性的且つ特徴的であり仲々決め難い。

取り敢えず候補を箇条書きにしてみると

1:鷦

2:黒鶫

3:黄鶲

4:磯鵯

5:目白

これを見たら、目白なんて入れるのか・・・と思う人も居る事だろう。

鳴き合わせ会で横綱になった個体に引けを取らないという目白を貰った事があり、この目白の声が他のとは異次元の複雑な美しさで、何とも言えず素晴らしかったが所詮は一代限りなので省くより仕方ないか。

 

左を向いた鷦鷯の大写し。

日本で一番小さいと言われる菊戴と鷦鷯を同時に持った事のある人は殆ど居ないと思う。

65年位前、野鳥の捕獲を趣味にしていた頃に私は左右の手で同時に持ったことがある。

小鳥の持ち方というのは結構難しいもので、今はもう忘れたが確か中指と薬指で2本の脚を挟み、親指を背中に回して持った様に思う。慣れないと細い脚を折ってしまうのがオチだ。

勿論、手で持っただけで何方が大きいかなんて判る筈は無かった。

右を向いた鷦鷯。

そんな事はどうでもよいが、鷦鷯の声はとても複雑で抑揚に富み、あの小さな体でよくもあんなに大きな声が出せるなと思う位大きな声であるし、とても文字や言葉で表せる様なものでは無い。

それに囀るロケーションが頗る良いのも大きく影響する。

薄暗い渓谷、渓流の彼方から聴こえる囀りが徐々に近付いて来ると何とも言えず心躍るのは私だけではあるまい。

後述の鳥笛で面白半分に相手をすると、必死になって鳴き返して来る様は音楽用語で言うところのCall and Responseの様だった。

右向きの鷦鷯の大写し。

コロナ禍前には毎年我が庭へも来ていたが、コロナ禍を境に色々な野鳥が来なくなった。

それにしてもコロナ禍と野鳥の間に何等かの関係でもあるのだろうか?

 

黒鶫の囀りも鷦鷯に負けず劣らず複雑で抑揚に富んでいるが、体が大きい分稍テンポがゆっくりしていて余裕が感じられる。

そういう意味では黒鶫が上でも良いのかなと思わなくもない。

右を向いた黒鶫。

そんなに素晴らしい鳴き声なのに、贅沢にも煩いと感じた事があった。

23歳の時、仕事で上高地へ撮影に行き帝国ホテルに泊まった翌朝早く、窓の直ぐ近くで休みなく鳴かれ、疲れていたので流石にその時は煩く思ったものだが今、思い返せばとんでもなく贅沢な話だ。

我が庭にも毎年必ず訪れて美しい囀りを楽しませて呉れるが、大抵は夕方でしかも短時間だ。

今日も夕方、短時間ではあるが美しい囀りを置き土産に飛び去った。

 

3番目は磯鵯と迷ったが、囀りを聴く時のロケーションやシチュエーションも大事なので、それも考慮して黄鶲にした。

後向きの黄鶲の大写し。

大瑠璃と似た状況で聴く黄鶲の囀りも又清楚で素晴らしく、新日本三鳴鳥に相応しいだろう。

左を向いた黄鶲の大写し。

「ツクツクホーシ」と鳴くと言われる。

私の減たった耳にはそうは聴こえないが、妻はそう聴こえると言う。

今朝も緑が濃くなった羽団扇楓の枝で囀っていたが、矢張り姿は確認出来なかった。

毎年来ては呉れるが、残念ながら雄は写せる場所には出て来ない。

 

話は逸れるが、私は瑠璃鶲の囀りを良くは知らない。

富士山の奥庭で聴いたが、既に私の耳は高音をハッキリとは聴きとれなくなっていて、鳴いているのは判ってもその良さを理解する事は出来なかったのである。

妻は瑠璃鶲も候補に入れたらと言うが、私の耳はもう選ぶ資格が無さそうだ。

オーデュボンのバードコールと鳥笛。

上は有名なオーデュボンのバードコール。

木製の筒に金属棒を挿し込んで回すと、小鳥の囀りに似た音が出る様に作られている。

竹製の笛。

70年位前に小遣いを貯めて購入した鳥笛。

見た通り笹(竹かも?)の筒に、竹の軸を削った物を挿し込んだだけの簡素な作りの笛だが、鳴らし様次第で色々な野鳥の鳴き声を再現出来る優れ物だ。

 

昔は山や公園で山雀を見掛けると、これを吹いて揶揄ったものだ。

即座に反応して、鳴き返して来るのが面白かった。

吹きながら歩くと何処迄も着いて来るし、中には飛び掛からんばかりに近付いて来るのもいた。

その余りの真剣さに、これは良くないと思って止めた。

 

聞做しと言う言葉を御存知だろうか?

野鳥の囀る声を人間の言葉に置き換えたのを「聞做し」と言い、野鳥の囀り声を覚え易くしたものだと言えよう。

鶯の「ホー、ホケキョ」が一番有名なのは言う迄もなかろう。

時鳥は「特許許可局」「天辺懸けたか」

頬白は「一筆啓上仕り候」「源平躑躅、白躑躅」

仙台虫喰は「焼酎一杯グイー」

三光鳥は「月、日、星、ホイホイホイ」

他にも沢山ある。

更に鶯には方言迄あり、この話をし出すと長くなるので止める。

勿論、他の野鳥にも地域毎の方言らしきものはあるし、それ以上に個体毎の差は会って当然だろう。

 

余計な一言・・・我が庭で繁殖している鶯は先祖代々下手な囀りで少しも楽しめない。

その替わりに写真を撮らせて呉れているのだから、寧ろ良い声だけど写真が撮れないより余程有難い。