見せてもらった。
正直劇場公開時に楽しみにしていて原作小説も買っていた(結局読んでないけど)。しかし予告編を見た感じの決定打に掛けたためか迷っているうちに公開終了していた、そんな作品「砕け散るところを見せてあげる」がいつの間にかNETFLIXで配信開始。ということで早速みてみました。
こういうい映画を見るときに気を付けたいのが「最後悲しいラストになるんじゃないか」ってこと。
年のせいかこの手の”ラストの読めない映画”で悲しい結末になる映画って最近苦手です。完全にハッピーエンドとまではいかなくてもせめて希望を込めたラストであってほしい。悲しい終わり方をする映画を、少なくともここのところは観たくないという気持ちでいるわけです。おそらくいまだったら私は「ヒメアノ~ル」とか見られないんじゃないかな。
話しは高校3年生の清澄という青年が主人公。
彼の心の中には亡き父から伝えられた「ヒーローとしての心構え」があった。そんなある日後輩の1年生の女の子がクラス中から陰湿ないじめになっているのを目にしとっさに助ける行動に出てしまう。
やがてその女の子・蔵本玻璃玻璃(はり)をいじめから救うために奔走するうち、彼女との間に好意が芽生えていく。しかし玻璃には清澄に打ち明けられずにいるある”秘密”があるのだった・・・
観てよかった。
ヒロインの石井杏奈は「ソロモンの偽証」とか「ガールズ・ステップ」とかでよく見る女優さんですが、実年齢23歳みたいですが今回は16歳役。おそらく一見地味目な役が得意だと思われるので高校生役とかが映えるんでしょうね。
物語は多少奇妙な設定がありつつも、かなり現実味のありそうなハード目青春ドラマで、過酷な現実を生きる若者と甘酸っぱい恋愛がうまくミックスされていてよかったと思います。
ただちょっと気になる点もあり、清澄と玻璃が実際にお互いを知ることになる「公衆トイレのシークエンス」があるのですが(クラスメイトに公衆トイレに閉じ込められていたところを清澄が発見して解放する。そこで初めて二人は直接会話をするという物語の起点となるシークエンス)、少し前までいじめられていた正体不明の女の子だった玻璃が、いきなり”普通の女の子”になりすぎだろ、急すぎないか?と思います。
清澄が「話してみたら普通の(なんだったら可愛い)女の子じゃん」と思うシーンなのはわかりますが、玻璃はいきなり普通に先輩である清澄に話しすぎだろ、とも思います。それまでの”いじめられるような部分”がきれいさっぱりなくなっている。もちろん本人になんの非がなくてもいじめは起こったりするんでしょうが、このシーンの玻璃はいじめられるような要素がまったくないのが逆に違和感を感じてしまいます。
ともあれ、
最初は「正義感から助けた相手」「いじめから救ってくれた恩人」という間柄から少しずつお互いが惹かれて心の距離が近くなっていく過程(はっきりと恋愛要素は描かれないが)は見ていて心地よかったし、ヤマ場の展開、そしてラストのもっていき方はハッピーエンドというわけでもないが危惧していた”悲しい結末”というほどでもないという微妙なラインを狙っていてギリセーフでした。エンディングの曲もよかった。
ということで、
この映画はなかなかの良作。ぜひ見てみてほしいですね。
あと小説まだ家にあるので読んでみようと思います。