今日は映画ではなく舞台評。
とはいえ
劇場で観たわけではなく
NHK BS の 白鳥の湖 特集にて
録画視聴。
1995年初演の
マシュー・ボーン振付作品。
一大センセーショナルを巻き起こして
絶賛されていたものの改訂版。
通常の『白鳥の湖』との最も大きな違いは
白鳥を女性ではなく男性が演じること。
クラシックバレエの男性ダンサーの衣装は
身体の線が出すぎて慣れるまでは
抵抗感を抱く人も多いかもしれないが
このバレエは衣装デザインも秀逸。
男性の肉体美と白鳥の迫力が
万人に受け入れられやすい
自然なデザインで表現されている。
むしろこちらがオリジナルで
女性ダンサーが身につけるチュチュが
不自然に感じられ始めるほど。
主役は
悪魔によって白鳥に姿を変えられた
人間の姫君ではなく
白鳥と出会って運命が変わる王子のほう。
男性が舞う白鳥の
雄々しさ、猛々しさ、動きの迫力。
セクシーさにも繋がる危険な魅力は
野生の動物たちを彷彿とさせる。
映画『リトル・ダンサー』の
クライマックスに一瞬
主役の1羽の白鳥が登場するのだけれど
群舞になったときの迫力は
主役1人だけのときの比ではなかった。
ゾクゾクする。
マシュー・ボーン氏の演出は
切ない
母恋の物語
だった。
自伝的でもあるのかな?
と感じさせる。
母との葛藤からこころを解放されるから
白鳥に惹かれていくようにさえ見える。
男性で同性愛者の友人が
恋愛対象の男性には
見た目を求めるけれど
女性(友人)には
ハート、人の良さを求める
と言っていた。
多くの場合、男の子は
父親に自分を投影して育つから
女性を好きになるけど
同性愛者はなぜか母親に
自分を投影するから
男性に惹かれるようになる
という説があるんだよね
とも。
もちろん全ての LGBT系の人が
同じなわけではないけれど
母に対して特別な想いを抱いている
ケースは多いらしい。
この物語の王子は
"母に自分を投影する"
のを超えて
惹かれすぎ、執着しすぎて
王の存在感がないのもあって
危うく性の対象にまでなりそうな勢い。
女王が王子に冷たいのは
欧州の上流階級ではわりとよく聞く関係性。
子守は乳母が
教育は家庭教師が担当していて
両親は仕事や屋敷の管理、社交に忙しく
屋敷が大きいのもあって
同じ家に住んでいながら
朝晩の挨拶以外、顔を見ることもない。
普通、子どもは早々に
一般家庭とは違うことを諦めるけれど
この物語の王子は
諦められなかった。
感情を爆発させるシーンで
母から受け取るのは
明らかな戸惑いと拒絶。
観ていて切なくなる。
母は息子の自分への執着に
危険性を感じるから
余計突き放しているようにも見える。
通常版の宮殿に当たるシーンでは
欧州の貴族社会というよりは
現在のセレブリティ社会を
皮肉るような演出。
ウワベだけを取り繕った
本音を見せない社会を批判的に描く。
そこで人間社会の虚しさが
強調されて描かれるからこそ
のちの白鳥たちのシーンの
気高さ、美しさが際立つ。
同様に
母である女王は
王子の愛を受け入れはしないのだけれど
王子がその場しのぎで
付き合っている女性の軽薄さ、品のなさが
やたらと強調されて描かれることで
母の凜とした美しさを際立たせ
母に惹かれてやまない王子の心情に
観客が寄り添える。
求めても手に入らない
母の代わりに王子が惹かれた白鳥。
その白鳥にそっくりな人物が
3幕のパーティシーンで現れ
母を誘惑する。
母の女性としての姿を見せられ
しかもその相手は
自分が惹かれ心を開いた白鳥。
2人が自分には見せたことのない表情で
見つめ合い、光り輝いている。
女王の衣装は
伝統的に演出の世界では
恋に落ちる女性主人公が身に纏う “赤”
王子の動揺たるや。。。
スワンを演じたウィル・ボジアー氏。
熱演素晴らしいのだけれど
カリスマ性ではやはり
初演時のアダム・クーパーのほうが
一枚上手だったかな。
それは『オペラ座の怪人』で
市村正親氏の怪人を観てしまうと
他の人が演じる怪人は
物足りなくなってしまうのと一緒。
ウィル・ボジアー氏の演じるスワンも
ダメなわけでは全くなく素晴らしい。
XGIMI Horizon Pro 購入後
初めて観る舞台作品でもあった。
幅 2m 以上の大画面だと
ダンスの迫力もひとしお。
小型、軽量。
わずか 3kg。約 20 x 20 x 14 cm。
購入後半年以内に
2箇所ドット落ちが出来たけれど
日中カーテンを閉めなくても
そこそこ何が写っているのかはわかり
遮光すれば 4K 放送は映画館のよう。
音は。。。
そのうち SONOS でも繋げよう。
TV を観るなら単体で充分な音質だけど
映画を観るならやはり
アンプをかませたい。
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Matthew Bourne's Swan Lake
2019年1月10日
サドラーズ・ウェルズ劇場
演出・振付:マシュー・ボーン Matthew Bourne's
舞台美術・衣装:リズ・ブラザーストン Lez Brotherston
出演:ニュー・アドベンチャーズ
スワン/ストレンジャー:ウィル・ボジアー Will Bozier
王子:リアム・ムアー LIam Mower
女王:ニコル・カベラ Nicole Kabera
ガールフレンド:カトリーナ・リンドン Katrina Lyndon


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