2008年。「おっぱいバレー」製作委員会。
羽住英一郎監督。
1979年の北九州を舞台に、新任の女教師とバレーボール部員たちとの心の交流を描いた青春ドラマ。
同じ1979年の栃木を舞台にした『僕たちと駐在さんの700日戦争』という、とっくに忘れ去ってしまった映画もあったが、あちらの方がはるかにまともだった、と思われてくるほどに残念な出来の作品になってしまっている。
1979年に流行していたらしき音楽を散りばめながら、当時の雰囲気を可能な限り再現しつつ、失われた青春を描く、というところは『僕たちと駐在さんの700日戦争』と同じような作り方だったが、
圧倒的に切なさが欠けている。
切なさのない青春映画は、もはや青春映画とは呼べないだろう。
ラストシーンにかすかにただよってはいたが、やはり物足りない。何となくNHKの『中学生日記』の映画版を見ているような感覚があったが、『中学生日記』のほうが良く出来ているような感じもする。
おっぱいとバレーと主演が綾瀬はるかいう単語の組み合わせには大きな期待感を抱かせるものがあっただけに、余計に失望感が大きくなったのかも知れない。
これが主演が江角マキコとか、篠原涼子とかなら何の期待もなく見ることもなかったが、同世代の蒼井優とか加藤ローサとか栗山千明とか北川景子とかでもそれほど期待を抱かせるほどのものでもない。吉高由里子なら、そのものが映し出されるという別の期待があったが、それほど興味はなかっただろう。
海の向こうのアメリカでは、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』という後世に残りそうな青春映画の傑作が発表されて間もない時期に、文部科学省推薦映画となっても不思議ではないほどに何も感動のない映画が作られてしまった日本映画の現状を残念に思った。
エンディングで流れたキャンディーズの『微笑みがえし』という曲だけはすばらしかった。
公式サイト
国語教師として転任してきた美香子先生(綾瀬はるか)は、新任のあいさつで高村光太郎の『道程』を出して、「私はドウテイが大好きです。」と叫ぶ。
何度も繰り返される、ドウテイという言葉の響きに反応した生徒たちは騒然となり、なかには鼻血を出すものまで現れる。
つかみのエピソードで、これはまじめなふりをした青春エロ映画だと確信し、期待は高まった。
バレー部員ひとりひとりのキャラクターが細かく描かれることなく、単なる集団キャラクターとしての描かれ方しかなかったことが物足りなさの原因だった。
家庭での風景もまったくなかったので、生身の少年たちというより、おっぱいの妄想に取りつかれたバレー部員という記号のような存在だった。
ヤンキーの先輩を演じる石田卓也が、これまでの出演作品では見たことのないような役どころだったので、面白さはあったが、あまり生かされたキャラクターではなかった。
綾瀬はるか自体は好演していたように見えたが、タイトルに反して胸を強調したようなショットはひとつもなかった。現在まで絶好調を維持していた綾瀬はるか株大暴落の危険な予感とともにこの映画はある。
タイトル以外はNHKのドラマとして放送しても問題のないレベルだった。
青山真治監督の『ヘルプレス』では、殺人鬼のような北九州ヤクザを演じていた光石研が教頭先生役であたりさわりのない役を演じ、しかも標準語で話していた。
出演者全員がなぜか標準語で話していたところにも、九州の中でもガラが悪いことで有名な北九州という土地柄が生かされていなかった。
美香子先生に想いを寄せる同僚の堀内先生(青木崇高)とのエピソードにも中途半端さがあり、もう少し堀内先生の設定が際立つエピソードがあればよかった。
エロな妄想は感動的なフィナーレにすりかえられてしまったような、何かちぐはぐな納得できない思いのままに映画は幕を閉じてしまった。
中学校の教育の一環として校内で上映会をやる映画には向いているかも知れない。
羽住英一郎監督。
1979年の北九州を舞台に、新任の女教師とバレーボール部員たちとの心の交流を描いた青春ドラマ。
同じ1979年の栃木を舞台にした『僕たちと駐在さんの700日戦争』という、とっくに忘れ去ってしまった映画もあったが、あちらの方がはるかにまともだった、と思われてくるほどに残念な出来の作品になってしまっている。
1979年に流行していたらしき音楽を散りばめながら、当時の雰囲気を可能な限り再現しつつ、失われた青春を描く、というところは『僕たちと駐在さんの700日戦争』と同じような作り方だったが、
圧倒的に切なさが欠けている。
切なさのない青春映画は、もはや青春映画とは呼べないだろう。
ラストシーンにかすかにただよってはいたが、やはり物足りない。何となくNHKの『中学生日記』の映画版を見ているような感覚があったが、『中学生日記』のほうが良く出来ているような感じもする。
おっぱいとバレーと主演が綾瀬はるかいう単語の組み合わせには大きな期待感を抱かせるものがあっただけに、余計に失望感が大きくなったのかも知れない。
これが主演が江角マキコとか、篠原涼子とかなら何の期待もなく見ることもなかったが、同世代の蒼井優とか加藤ローサとか栗山千明とか北川景子とかでもそれほど期待を抱かせるほどのものでもない。吉高由里子なら、そのものが映し出されるという別の期待があったが、それほど興味はなかっただろう。
海の向こうのアメリカでは、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』という後世に残りそうな青春映画の傑作が発表されて間もない時期に、文部科学省推薦映画となっても不思議ではないほどに何も感動のない映画が作られてしまった日本映画の現状を残念に思った。
エンディングで流れたキャンディーズの『微笑みがえし』という曲だけはすばらしかった。
公式サイト
国語教師として転任してきた美香子先生(綾瀬はるか)は、新任のあいさつで高村光太郎の『道程』を出して、「私はドウテイが大好きです。」と叫ぶ。
何度も繰り返される、ドウテイという言葉の響きに反応した生徒たちは騒然となり、なかには鼻血を出すものまで現れる。
つかみのエピソードで、これはまじめなふりをした青春エロ映画だと確信し、期待は高まった。
バレー部員ひとりひとりのキャラクターが細かく描かれることなく、単なる集団キャラクターとしての描かれ方しかなかったことが物足りなさの原因だった。
家庭での風景もまったくなかったので、生身の少年たちというより、おっぱいの妄想に取りつかれたバレー部員という記号のような存在だった。
ヤンキーの先輩を演じる石田卓也が、これまでの出演作品では見たことのないような役どころだったので、面白さはあったが、あまり生かされたキャラクターではなかった。
綾瀬はるか自体は好演していたように見えたが、タイトルに反して胸を強調したようなショットはひとつもなかった。現在まで絶好調を維持していた綾瀬はるか株大暴落の危険な予感とともにこの映画はある。
タイトル以外はNHKのドラマとして放送しても問題のないレベルだった。
青山真治監督の『ヘルプレス』では、殺人鬼のような北九州ヤクザを演じていた光石研が教頭先生役であたりさわりのない役を演じ、しかも標準語で話していた。
出演者全員がなぜか標準語で話していたところにも、九州の中でもガラが悪いことで有名な北九州という土地柄が生かされていなかった。
美香子先生に想いを寄せる同僚の堀内先生(青木崇高)とのエピソードにも中途半端さがあり、もう少し堀内先生の設定が際立つエピソードがあればよかった。
エロな妄想は感動的なフィナーレにすりかえられてしまったような、何かちぐはぐな納得できない思いのままに映画は幕を閉じてしまった。
中学校の教育の一環として校内で上映会をやる映画には向いているかも知れない。