2007年。アメリカ/日本。"THE MACHINE GIRL".
  井口昇監督。
 アメリカ製作による日本への逆輸入のスプラッター・アクション・コメディみたいな青春映画。
 当初は日本での公開は予定になかったらしく、やりたい放題に血が大量に流れて、首が吹っ飛び、人体が破壊される描写が、次々に出てくる。
 スチル写真を見た印象では、かなりグロテスクで食事中には見られないような気持ち悪い描写が多いような気がしたが、実際に見てみると、意図的にやり過ぎているせいか、すがすがしささえ感じるさわやかな映像だった。

 一応はアメリカ映画でもあるので、英語音声の日本語字幕で見てみたら、英語で見たほうが面白さが増したような気がした。
 日本で公開する際に気を使って作ったと思われる『HOW TO MACHINE GIRL 残酷映画の楽しみ方』という、こういう映画を見るときの注意事項が最初に出てくる。

 井口監督が自ら出演してレクチャーしているふんどし姿を見ていると、この顔には見覚えがあることに気づいた。
 地方から出てきたヒップホップかぶれの青年がラッパーを目指す青春映画だと思い込んでいた、『ラッパー慕情』(藤原章監督。2003年)という決して人にすすめることは出来ないが、忘れがたい映画の中で、主人公の三兄弟をいじめ続けて惨殺してしまうヤクザのような男を演じていた不気味な人物が井口監督だった。
 ラップとはほとんど関係がなかった『ラッパー慕情』の中で、唯一のラップらしきものをやっていた人物でもあった。
 
 ただの変な映画だと思ったら、意外にバランスが良くて、面白かった。
 英語音声で見ると、『キル・ビル』っぽい感じになる。梶芽衣子の『さそり』シリーズも思いだした。残酷描写のやり過ぎている感じはジェームズ・グリッケンハウス監督の名作(深夜放送のテレビで1度見ただけなのでかん違いかも知れない)『エクスタミネーター』にも似ている。
 最近だとジョディ・フォスター主演の『ブレイブ ワン』(ニール・ジョーダン監督。2007年)とも共通するところのある物語になっていた。
    IMDb           公式サイト(日本)
映画の感想文日記-machinegirl1
 弟を殺され、自らも片腕を切断された女子高生が、腕にマシンガンを装着して、復讐の鬼と化す。
 マシンガンがマカロニ・ウェスタンに出てくるような古くさいものになっていて、回転しながら弾丸が発射されるところが面白かった。
 アメリカ人向けに製作されているためか、寿司やてんぷらなどもグロいかたちで出てくる。
映画の感想文日記-machinegirl2
 ロンドンブーツのあつしにちょっと雰囲気の似たかたき役の少年が憎たらしさを増強させる好演を見せていた。
 ヤクザがなぜか忍者の末裔になっていて、アメリカ人が日本文化に求める要素はとりあえず全部入っていた。
映画の感想文日記-machinegirl3
 男優はヤクザの組長とかたき役の少年以外はあまり区別がつかなかったが、女優陣は熱演を見せて映画を盛り上げていた。
 殺され方は『ファイナル・デスティネーション』シリーズみたいに低予算のわりにはさまざまな工夫が見られて面白い。アメリカ産の最近のホラー映画(『フィースト』とか『スリザー』とかの似た路線のもの)よりは面白かった。
 次は『東京残酷警察』のレンタル開始を楽しみに待とう、と思った。
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