2007年。アメリカ。"WALK HARD :THE DEWEY COX STORY".
  ジェイク・カスダン監督。
 ジャド・アパトー製作による、ロック業界のパロディ映画。
 『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』を元ネタにして、下ネタ、ブラック・ジョークを散りばめた不道徳映画で、プロの歌手に転向したほうが良いのでは、とも思われるジョン・C・ライリーの美声が楽しめる音楽映画にもなっている。

 出演者は豪華過ぎて、よくわからなかったが、音楽業界や映画業界その他から有名人が多数ゲスト出演している様子だった。
 伝説のロック歌手で1950年代から1980年代までの激動の時代を激しく駆け抜けたデューイ・コックス(ジョン・C・ライリー)が、ヒップホップのサンプリング・ネタに使われてリバイバルし、ロックの殿堂入りを果たした2007年のステージ上で心臓発作で71年の生涯を閉じるまでを描いた物語。
 実在の有名人で登場するのはエルビス・プレスリー(ジャック・ホワイト)、ビートルズなどで、まったく似ていないところが笑いどころになっている。
 ポール・マッカートニー役のジャック・ブラック、リンゴ・スター役のジェイソン・シュワルツマン、ジョージ・ハリスン役のジャスティン・ロング、ジョン・レノン役のポール・ラッドは特にひどくて、ビートルズ・ファンが見たら怒り出すかも知れない。火に油を注ぐように、「ビートルズはモンキーズと同じくらい素晴らしいよ。」というほめているようで馬鹿にしているせりふがあったりもする。

 『タラデガ・ナイト/ オーバルの狼』や『スーパーバッド/ 童貞ウォーズ』、『俺たち』シリーズなどを楽しく見た人には同じように楽しい映画だった、と思う。
   IMDb          公式サイト(US)
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 幼い頃に神童と呼ばれた兄と遊んでいるうちに、デューイははずみで兄をナタで真っ二つに切断して殺してしまった。そのことがトラウマとなり、デューイは哀しみをブルースで表現するようになる。
 父親は「良い子が死んだ、悪いほうが残った。」と繰り返し語り、デューイと父親との複雑な心のかっとうが描かれる。(後にデューイは父親と感動的な和解をするが、そのときに再びはずみで父親をナタで真っ二つに切断して殺してしまう。)
 プロの歌手となったデューイは巡業先で運命の女ダーレン(ジェナ・フィッシャー)と出会い、デュエットした『ウォーク・ハード』は記録的な大ヒットとなる。
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 ブルース、カントリー、ロックンロールなどを開拓していったデューイは1950年代にすでにパンク・ロックを演奏するほどに時代の先を歩いていた。
 人権意識に目ざめたデューイは背の低い人々の権利を主張する「ショート・パンサー・パーティー」とともに、プロテスト・ソングを歌ったりして、ボブ・ディランのパクリではないか、と言われる。

 デューイはインドでビートルズと出会うが、ビートルズはポール・マッカートニー(ジャック・ブラック)の独裁政権と化しており、他のメンバーの不満は高まっていた。
 ジョージ・ハリスン(ジャスティン・ロング)はアルバムに自分の曲を入れてほしい、と願うが、ポールに「お前はギターだけ弾いてろ。」と一蹴される。
 リンゴ・スター(ジェイソン・シュワルツマン)も不満を口にするが、ポールに「バンドに居させてもらえるだけありがたいと思え。」とののしられる。
 ジョン・レノン(ポール・ラッド)がポールに「お前の書いた曲はお前が64歳になってもクソッタレのままだろうよ。」と予言したことからポールとジョンはつかみ合いのけんかを始める。
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 ドラッグにおぼれて自分を見失ったデューイだったが、リハビリによって奇跡のカムバックを果たし、テレビの『デューイ・コックス・ショー』で低俗な歌を歌い、お茶の間の人気者になった。
 音楽業界からはパールジャムのエディ・ヴェダー、ライル・ラヴェット(ジュリア・ロバーツの元夫)、ジャクソン・ブラウン、ジュエル、その他クレジットなしでいろいろ出演していたらしい。
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