2008年。「きみの友だち」製作委員会。
廣木隆一監督。重松清原作。
キャロル・キングやジェイムス・テイラーのヒット曲として知られている『きみの友だち』(You've Got A Friend)をタイトルにした青春群像劇。
キャロル・キングは少しR&Bっぽい歌い方をするが、ジェイムス・テイラーのバージョンはあっさりとして淡々としている。監督のインタビューによると、ジェイムス・テイラーの雰囲気をそのまま画面に定着したかったらしい。
それはかなり成功しているように見えた。エンディングの曲さえなければ。
試写会に当たったものの、予告編を見る限りでは、難病ものの「泣かせ」映画っぽくて、見るのをやめようか、とも思っていたが、
一応主人公的な位置にいる二人の少女は、群像劇の中心軸のようなもので、さまざまなエピソードのひとつに過ぎないものだった。
主人公ふたりだけの物語だったら、見るのが苦痛な、どうでもいい映画になってしまっていただろうと思われる。
ロングショットが多用されているが、それでも少なすぎる、アップを減らしてロングショットとバストショットを増やしたら、世界に通用する傑作が誕生したような気がするだけに、もったいないと思われたり、これはちょっと、という場面もあったりしたが、
それでもこの映画は素晴らしかった。
日本映画っぽくないアメリカンな演出を意外に思いながら、ガス・ヴァン・サントを意識しているのだろうか、などと思っているうちに、忘れ去ったと思っていた、15歳前後に過ごした時期の感覚がリアルによみがえってくるのを感じて、映画の中の世界にとりつかれてしまった。
ただし、空に浮かぶ雲が重要な意味を持つ映画のわりには、ガス・ヴァン・サント監督の『エレファント』で映し出された鮮やかな空のショットに匹敵するようなすぐれたショットはひとつもなかった点に、この映画の物足りなさがあらわれているようにも見えた。
公式サイト
物語は、フリースクールでボランティアをしている、20歳になった恵美(石橋杏奈)が、取材に訪れたジャーナリストの中原(福士誠治)の質問に答えて、15歳の頃に亡くなった友だち、由香(北浦愛)のことを語り始める、という形で進行する。
恵美の想い出の中にあるエピソードだけではなく、同じ時期のそれぞれの青春が、エピソードごとに主語が変わって語られるので、一瞬とまどうが、やがて、それぞれが結びついてゆく。
大人になってからの恵美と中原は軸になっているだけで、実質的には脇役に近い。後半で、唐突に結婚の申し込みの場面になったときはあまりに展開が速すぎて意味がわからなかった。
恵美の弟でサッカー部のスターで成績もトップクラスのブン(森田直幸)の幼なじみでありながら、住む世界が違ってしまった、といじけるミヨシのキャラクターが印象深い。
ミヨシのエピソードで、先輩に呼び出されて殴られる、とわかったときに風景が違った風に見えたことを想い出した。
恵美に言われたある言葉にある優しさに触れて、うれしいのか哀しいのか切ないのか自分でもわからない状態で泣き出してしまうハナ(吉高由里子)の場面は印象に残る。
この場面だけでも見て良かった、と思われるすぐれた場面だった。
音楽はメインテーマみたいに使われている松崎ナオの『hello, goodbye』という曲が素晴らしい。
他には、デヴィッド・リンチがよく使いたがるというAu Revoir Simone(オ・ルヴォワール・シモーヌ)というグループの曲が2曲使われていたが、これも素晴らしかった。
しかし、映画の余韻をエンディングの曲がすべてぶち壊しにして映画は幕を閉じた。
ここは再び松崎ナオの曲で終わるべきだと思ったが、何か事情があったのだろう。
廣木隆一監督。重松清原作。
キャロル・キングやジェイムス・テイラーのヒット曲として知られている『きみの友だち』(You've Got A Friend)をタイトルにした青春群像劇。
キャロル・キングは少しR&Bっぽい歌い方をするが、ジェイムス・テイラーのバージョンはあっさりとして淡々としている。監督のインタビューによると、ジェイムス・テイラーの雰囲気をそのまま画面に定着したかったらしい。
それはかなり成功しているように見えた。エンディングの曲さえなければ。
試写会に当たったものの、予告編を見る限りでは、難病ものの「泣かせ」映画っぽくて、見るのをやめようか、とも思っていたが、
一応主人公的な位置にいる二人の少女は、群像劇の中心軸のようなもので、さまざまなエピソードのひとつに過ぎないものだった。
主人公ふたりだけの物語だったら、見るのが苦痛な、どうでもいい映画になってしまっていただろうと思われる。
ロングショットが多用されているが、それでも少なすぎる、アップを減らしてロングショットとバストショットを増やしたら、世界に通用する傑作が誕生したような気がするだけに、もったいないと思われたり、これはちょっと、という場面もあったりしたが、
それでもこの映画は素晴らしかった。
日本映画っぽくないアメリカンな演出を意外に思いながら、ガス・ヴァン・サントを意識しているのだろうか、などと思っているうちに、忘れ去ったと思っていた、15歳前後に過ごした時期の感覚がリアルによみがえってくるのを感じて、映画の中の世界にとりつかれてしまった。
ただし、空に浮かぶ雲が重要な意味を持つ映画のわりには、ガス・ヴァン・サント監督の『エレファント』で映し出された鮮やかな空のショットに匹敵するようなすぐれたショットはひとつもなかった点に、この映画の物足りなさがあらわれているようにも見えた。
公式サイト
物語は、フリースクールでボランティアをしている、20歳になった恵美(石橋杏奈)が、取材に訪れたジャーナリストの中原(福士誠治)の質問に答えて、15歳の頃に亡くなった友だち、由香(北浦愛)のことを語り始める、という形で進行する。
恵美の想い出の中にあるエピソードだけではなく、同じ時期のそれぞれの青春が、エピソードごとに主語が変わって語られるので、一瞬とまどうが、やがて、それぞれが結びついてゆく。
大人になってからの恵美と中原は軸になっているだけで、実質的には脇役に近い。後半で、唐突に結婚の申し込みの場面になったときはあまりに展開が速すぎて意味がわからなかった。
恵美の弟でサッカー部のスターで成績もトップクラスのブン(森田直幸)の幼なじみでありながら、住む世界が違ってしまった、といじけるミヨシのキャラクターが印象深い。
ミヨシのエピソードで、先輩に呼び出されて殴られる、とわかったときに風景が違った風に見えたことを想い出した。
恵美に言われたある言葉にある優しさに触れて、うれしいのか哀しいのか切ないのか自分でもわからない状態で泣き出してしまうハナ(吉高由里子)の場面は印象に残る。
この場面だけでも見て良かった、と思われるすぐれた場面だった。
音楽はメインテーマみたいに使われている松崎ナオの『hello, goodbye』という曲が素晴らしい。
他には、デヴィッド・リンチがよく使いたがるというAu Revoir Simone(オ・ルヴォワール・シモーヌ)というグループの曲が2曲使われていたが、これも素晴らしかった。
しかし、映画の余韻をエンディングの曲がすべてぶち壊しにして映画は幕を閉じた。
ここは再び松崎ナオの曲で終わるべきだと思ったが、何か事情があったのだろう。
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