2006年。ハンガリー。"SZABADSAG SZERELEM".
クリスティナ・ゴダ監督。
 1956年の「ハンガリー動乱」という言葉だけは、世界史の授業で1行だけの記述があり知っていたが、それがどういったものだったのかについては何も知らなかった。
 この映画を見た限りでは、それは動乱というより、学生を中心にした完全な革命戦争だったということがわかった。
 1970年前後の日本で起こった学生運動で、もし、学生たちが全員銃を持っていたらどうなっていたか、ということについても、想像をめぐらせることができる。

 しかし、この映画は基本的には主人公の男女のベタな恋愛悲劇を中心とした、青春群像劇として描かれていて、政治的に偏向しているのかどうかなどはどうでも良くなる娯楽作品として、単純に面白かった。
 プロデューサーはハンガリーからハリウッドに亡命して、『ランボー』シリーズや『ターミネーター』シリーズなどのヒット映画を製作する一方で、オリバー・ストーンやコスタ・ガブラスの映画の製作もしていることから、
 反ソ連・反中国でありながら共産主義の理想を信じているマルクス主義者でもあるらしい。そういう人物が経済的に大成功をおさめることのできるアメリカという国の不思議さも感じた。

 ハンガリー本国では史上最大の観客動員数を記録したらしいが、それも納得できるようなハンガリー万歳の映画になっている。
 予算も相当ぜいたくに使われているようで、当時の街並みや人々の衣装、武器、戦車なども忠実に再現されているのだとしたら、かなりの大作映画で、『ブラックブック』を連想させるところもあった。
 ただし、1本の映画としてみると甘っちょろい部分も目立って、恋愛ドラマを中心に置いた歴史大作としてみると三流の商品に過ぎないような印象もある。
 天才などと呼ばれることは決してなかった平凡な映画監督だったファスビンダーの『マリア・ブラウンの結婚』も、この映画と並べてみると、天才的に素晴らしい映画に見えてくる。
 アドレナリン上昇度の高い、激しい恋愛悲劇を求めている人には最適な映画だろう、とは思った。
       IMDb            公式サイト(ハンガリー/英語)
szabadsag3
 ハンガリー国内では大スターだという4人を中心とした、当時の大学生たちの青春群像劇としてみると素晴らしいドラマが展開される。
 当時も今も無敵を誇るハンガリーの水球チームのメンバーのオリンピックでのソ連との決勝戦と、女子学生の政治活動家たちが秘密警察に追い詰められてゆくさまがシンクロして描かれる。
szabadsag2
 どうでもいいことながら、男性も女性も50年前と基本的にはファッションに変化はほとんど見られない。
szabadsag1
 ヒロインを演じるヴィキ役のカタ・ドボーが、ちょっとヒステリックな感じで、役作りしていたのかも知れないが、あまり好きになれないタイプの女優さんだったので、ちょっと引き気味に鑑賞したので、いまひとつ物語に乗れなかった、ラストのジャンヌ・ダルクにイメージを重ね合わせようとしたらしき感動的な場面でも、まあ、こんなものだろう、と冷静に見ていた。
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