2002年。イギリス。"THE IMPORTANCE OF BEING EARNEST".
 オリバー・パーカー監督。オスカー・ワイルド原作。
 ジュディ・デンチ、リース・ウィザースプーン、コリン・ファース、ルパート・エヴェレット、トム・ウィルキンソン、フランシス・オコナー、その他出演。
 豪華な出演者がそろっているのに、日本未公開だったのはなぜだろうと思ったが、よくわからない。
 製作会社の"Ealing Studio"という会社は創業が1917年という老舗だが、他にも社名がいろいろクレジットされているので、ひょっとしたら、採算がとれずに、フィルム自体が債権会社の所有になってしまっていたのかも知れない。
 日本でDVD発売をしている会社もアルバトロスという良心的な映画を輸入しているものの、いつまで存続できるのかが危うい感じもある新興の小さな会社(社員数は9名しかいない)なので、案外安く手に入ったのだろう。

 オスカー・ワイルドの『真面目が肝心』という喜劇をもとにした映画で、2度目の映画化らしい。
 オスカー・ワイルド原作の映画化というと『理想の女』という、『ウィンダミア卿夫人の扇』を原作にしたスカーレット・ヨハンソン出演の映画があって、そこでのスカーレット・ヨハンソンがいかに素晴らしいかについてだけ、長々と感想を書いたはずだったが、見当たらないので削除したのだろう。

 田舎紳士のジャック(コリン・ファース)がときどきロンドンに遊びに行くときにアーネストという偽名を使っていたために引き起こされるドタバタ喜劇。19世紀のロンドンの貴族社会が舞台なので、無駄に予算がかかっている印象はあった。女優の衣装代(特にジュディ・デンチ)だけでも相当出費しているように見える。
 原作(読んでいない)が面白いものらしいので、映画も面白く、見どころも多いが、全体に地味な印象もあって、ヒットせずに忘れ去られていたのも、そのあたりが理由かも知れない。
 コリン・ファースがギターで、ルパート・エヴェレットがピアノで、デュエットしながら恋のバラードを歌う場面は面白かった。
    IMDb
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 いなかの退屈さを紛らわせるためにジャック(C・ファース)は、ロンドンにアーネストという架空の弟がいることにして、悪友のアルジー(R・エヴェレット)のところへ遊びに行く。
 アルジーのいとこにあたる美しいグウェンドレンに結婚を申し込みたい、という願いもあった。
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 しかし、グウェンドレンには鬼のように厳しい母親オーガスタ(J・デンチ)が常に付き添っていて、簡単には近寄れない状態だった。
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 アルジーの仲介で愛しいグウェンドレン(フランシス・オコナー)にプロポーズしたジャックことアーネスト。
 グウェンドレンはあっさりと求愛を受け入れる。理由は、彼と出会う前から、アーネストという名前の素敵な人が私の前に現れると信じていたから、というとんでもないものだった。
 ジャックという名前はどうかとたずねると、「ジャックという名前の男にはくだらない詐欺師しかいない。」と言われてしまい、本名を告げることが出来なくなってしまった。
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 借金まみれのアルジーは、ジャックのいなかの邸宅を訪れて、弟のアーネストになりすまし、ジャックが面倒を見てやっている令嬢セシリー(R・ウィザースプーン)に恋してしまう。
 セシリーもまた、真面目すぎるジャックおじさんの弟アーネストという名前に恋していた。
 アルジーという名前はどうかとたずねると、「そんな名前の人は愛せない。」と言われてしまう。
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 ジャックの邸宅に逃亡してきたグウェンドレンを追いかけて母親オーガスタも現れ、ジャックとアルジーとが、ともにアーネストという名前ではないこともばれてしまい、ドタバタ騒動の末に、とりあえずどうにか丸く収まるまでを描いた物語。
 セシリーの教育係のミス・プリズム(アンナ・マッセイ)とフレデリック博士(トム・ウィルキンソン)との老年の恋のエピソードもあって、面白かった。
 リース・ウィザースプーンは出演時間はそれほどないのに、英国式アクセントを学ぶために猛特訓したらしく、いつでも全力投球の女優らしいエピソードで好感を持った。
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